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Vesica Pisces
第17章 太陽は静寂に交わる
自分で選んだいつかに

あなたがいるなら

それだけできっと

✳︎ ✳︎ ✳︎

透は驚きもせずじっとこちらを見つめている。

誰かに依存して生きてきた自分を曝け出すのはやっぱり怖くて、無意識に手が震えた。

今だって、透となら違う世界を見る事ができるんじゃないかなんて、他力本願だと言われても何も言えない。

「…っ!」

透の大きな手が頭を撫でた。

目線を合わせても、何を言うでもなくただ穏やかに見つめている透。

「それも言えって」

見透かされたそれ。

「他に隠してることねーの?って前に言ったよな?もう言えるだろ?」

そうだ、透と生きていく。

ふうっと大きく息を吐いた。

『赤ちゃん、出来ないかもしれない、ちゃんとした家族…作れないかもしれないの』

目をぎゅっと瞑って言い切った後、そっと透を伺った。

「そもそも俺がちゃんとしてねーし」

『そんなことっ…!』

「俺もそう思ってる、同じじゃん」

そう言って透は私を指先でちょいちょいと呼んだ。

私は安心してその胸に抱かれる。

ここにいると色んな不安が消えて、透が生み出してくれた光に向かって歩けばいいという気さえしてくる。




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