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Vesica Pisces
第17章 太陽は静寂に交わる
『いつもお兄さん達から大丈夫かって聞かれてたって言ってました』
「今思えば、大丈夫だって言うしかなかったのかもしれない…いや、言わせてたんだな、きっと」
ふと視線を外し、澄んだ空を見つめる薫。
「あいつに…何をしてやれたんだろう」
猛が食事会を開いた時のことをふと思い出した。
いつまでも親代わりをする猛が嫌だったんじゃない。
いつまでも心配ばかりかけている自分が不甲斐なかったんじゃないのか。
みんなに理解されなくても、猛と薫、そして大事な人が理解してくれればそれで良かったんじゃ。
でもそれは透たち兄弟間の話で、薫の横顔を静かに見つめるしかない。
「暗い話になってしまってごめんね、二人のことは心から応援しています、どうか透のこと、よろしくお願いします」
頭を下げた薫はやっぱり優しい笑顔を浮かべていて、時々透がみせるあの優しい瞳に重なった。
『透には会ったんですか?』
「まだ眠ってる時に一度、さっき病室に向かったら、丁度食事を運び込んでいたんで止めたんです」
『じゃあ会いにいかないと』
「透よりかやさんに会えて良かった」
真っ直ぐな瞳は兄弟揃って同じで、やましい気持ちなど無いはずなのに何故か頬が熱くなる。
「今思えば、大丈夫だって言うしかなかったのかもしれない…いや、言わせてたんだな、きっと」
ふと視線を外し、澄んだ空を見つめる薫。
「あいつに…何をしてやれたんだろう」
猛が食事会を開いた時のことをふと思い出した。
いつまでも親代わりをする猛が嫌だったんじゃない。
いつまでも心配ばかりかけている自分が不甲斐なかったんじゃないのか。
みんなに理解されなくても、猛と薫、そして大事な人が理解してくれればそれで良かったんじゃ。
でもそれは透たち兄弟間の話で、薫の横顔を静かに見つめるしかない。
「暗い話になってしまってごめんね、二人のことは心から応援しています、どうか透のこと、よろしくお願いします」
頭を下げた薫はやっぱり優しい笑顔を浮かべていて、時々透がみせるあの優しい瞳に重なった。
『透には会ったんですか?』
「まだ眠ってる時に一度、さっき病室に向かったら、丁度食事を運び込んでいたんで止めたんです」
『じゃあ会いにいかないと』
「透よりかやさんに会えて良かった」
真っ直ぐな瞳は兄弟揃って同じで、やましい気持ちなど無いはずなのに何故か頬が熱くなる。