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Vesica Pisces
第17章 太陽は静寂に交わる
「で?お前はあーゆーのにも弱いんだ?」

『弱いって…?!』

思い当たる節はあるらしい。

「ほー心当たりがあるわけね、猛の次は薫かよ」

『違うってば!ただ…優しそうだなーって』

「どの口がそれを言ってんだ?」

むぎゅっと頬を潰してブッサイクに変えてやる。

「お仕置きしてやる」

「ふぇ?」

「あ、お前今、エロいこと考えただろ?」

ぶわっと顔を赤らめる伽耶。

「昨日の今日でやらねーよ」

頬から手を外して、病室に戻る。

「明日、帰るんだっけ?」

『うん、午後の飛行機で、透は?』

「顔出すとこあるから、帰るのは来月かなー」

明日、退院してからスマホを見るのが怖いくらいだ。

「来月、さ、帰ったらお前ん家行くか」

『うちに?」

「挨拶にね、うちは明日の午前中に然のとこ行けばいるだろーし」

『…透、無理してない?』

「は?何が?」

『透には…自由でいて欲しい』

ぎこちない笑顔を浮かべる伽耶。

そんな表情も見せてくれるのか。

「手に描いたの忘れた?お前はもうずーっと“おれのもの”なんだって、諦めろ」

早く諦めて、もうなにも考えなくていい。

お前だけの俺になるよ。

つーか、とっくに俺はお前だけのもんだと思ってるよ。
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