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Vesica Pisces
第18章 太陽は静寂を誘う
翌朝、トレヴァーはバス停まで見送ってくれた。

「また会おう」

ハグを求めてきたクロエが、俺の頬にキスをしたのに憤慨していたトレヴァーを置き去りにして帰路に着いた。

ブリュノと別れ、当初の予定をこなす。

あちこち飛び回り、結局日本に戻ったのは翌月だった。

伽耶に帰国の連絡はしたものの、会社に呼ばれて保険だなんだの手続きと、相変わらず勝手に埋められる打ち合わせやら、挨拶回りで、なかなか伽耶に会う時間が取れずにいた。

珍しく昼過ぎに終わった取材。

オープンしたばかりの商業施設のカフェでの取材だったので、ふらふらとそこら辺を見て回った。

ふと足を止めたのは靴屋。

奥に見えたビジューで飾られたパンプスに目に留める。

23センチだったな。

いやいや、靴より指輪じゃね?

思い直してその場を通り過ぎて、ジュエリーのフロアへと向かう。

やたらキラキラしているショーケースを適当にのぞきながら、やれ彼女へのプレゼントはこれだとか、特別なプレゼントならこちらだとか、勝手に色々提案してくる店員たち。

お前らが選んだやつなんてやらねーよ。

唯一男性の店員がただニコニコしながら突っ立ってるその店で、一番シンプルなものを買った。
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