この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Vesica Pisces
第18章 太陽は静寂を誘う
テーブル脇に置いてある大小2つの紙袋を見つめて、こんな思いをするなら、よっぽどランプの上の方が楽だと思った。
それでも伽耶が喜ぶなら…喜ぶのか?
プレゼントをねだられた事なんて一度もない。
初めてのプレゼントになる筈のスプーンは1年以上経ってから、本人に渡った始末。
指輪ももっと凝ったデザインのものとか、嘉登らに聴いてみた方が良かっただろうか。
らしくない。
何でもいいだろとも思えない。
結婚指輪は伽耶の欲しいものにしよう。
ベッドに寝転がると、いつの間にか眠りに落ちていた。
その日の朝、メールを送る。
飯行こうの一言に返ってきたのは、何処に?
そりゃそうだ。
店の名前は伝えず、会社が終わる頃迎えに行くとだけ返して、レストランへ向かう。
紙袋を2つ渡して理由を説明すると、ギャルソンは慣れたものらしく料理の順番や段取りをさくさくと打ち合わせした。
「デザートはいかがなさいますか?今だと…」
アニバーサリーメニューを見せられて、すぐ目に付いた苺がいっぱいのケーキに変えた。
伽耶、苺好きだっけ?
クリスマスはケーキを食べている姿より、餃子を包んでいる姿しか覚えていない事を嘲笑した。