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Vesica Pisces
第18章 太陽は静寂を誘う
6時を回って、伽耶の会社の前、いつものガードレールに凭れかかる。

メールを開けば、嘉登が何処のレストランだとうるさい。

「あの、モデルさんですかぁ?」

女子高校生が5人も集まってきゃあきゃあ騒ぐ。

「違うし」

「LINE交換してほしいー」

うるせーな、群れないと声も掛けれねーくせに。

ぐいぐい距離を詰めてくる高校生たちの向こうに、唇を尖らせた伽耶が見えた。

「俺、奥さんいるから」

悲鳴とも何とも言い難い声を背に、出てきた伽耶の元へむかう。

『相変わらずモテますね』

「あれはモテてるとは言わねーだろ」

『女の子に囲まれてるのに?』

「妬いてんの?」

否定する伽耶の手を握って、レストランを目指す。

出来たばかりの商業施設の上層階のレストラン、入り口もそれなりのそこに伽耶が躊躇う。

『だって、平服だよ?』

「俺もだよ、何なら、下で服買って着替える?」

首を振る伽耶の背中を押して、窓際のテーブルに案内されると、予め頼んでおいたコース料理が運ばれてきた。

伽耶は料理の1つ1つに笑顔を浮かべて、本当に美味しそうに平らげていく。

『今日はどうしてここなの?』




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