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Vesica Pisces
第20章 太陽の静寂
太陽が沈む時、眩しくて切なくなる。

太陽が昇る時、眩しくて温かくなる。

会いたくて、また会いたいと焦がれるこの気持ちは恋に似ている。

太陽が消えるその時も、生まれるその時も私はその光に手を重ねて温もりを確かめる。



米神から顎へと無数の汗が滴る透の横顔には、苦痛の色が滲む。

台湾のFMXショーでミスった透は、地面に背中から落下、その上にバイクが落ちて来て、肋骨3本と大腿骨を骨折、右腕打撲の怪我を負った。

台湾で処置を終え、先週リハビリを開始するため帰国した。

大腿骨のリハビリはかなりの痛みを伴うらしく、苦痛に顔を歪めながらも透は日々リハビリに努めていた。

2時間強のリハビリを終えて、病室に戻って来た透の体を拭いていると、昼食が運ばれてくる。

「いい身体してるねぇ」

配膳のおばちゃんが笑いながら膳を用意していく。

「また食わねぇの?」

パックのトマトジュースを啜る私を見て、透は自分の膳から玉子焼きを差し出した。

やんわりと断ると、指先で呼ばれてコツンと額を合わせた。

「微熱?体調悪いなら、無理して来んなよ?」

『透、あの…私ね』

鞄から一枚の写真を取り出して見せた。
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