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Vesica Pisces
第4章 太陽は静寂を開く
試されてるのか?

その笑顔は反則だろ

つーか、いい加減気づけよ

✳︎ ✳︎ ✳︎

カシャ。

不自然なカメラのシャッター音と、口の端に押し当てられている柔い唇。

重い瞼をこじ開けて昨夜を共にしたサラを隣に確認する。

「何してんの?」

「ヨシトから電話掛かってきてたわよ、クリスマスパーティーには間に合うのか?って」

「で?」

「知らないって答えておいたわ」

「勝手な事すんな」

サラの手からスマホを取り戻すとメールを開く。

そこには一枚の写真が送信済みになっていた。

「ね、クリスマスマーケット行こ!」

「行かね、帰る」

脱ぎ散らかした服を、下着を1つずつ拾いながら身支度を整える。

「トオル!ちょっとくらいデートしようよぉ」

「しねぇし」

さっさとコートを羽織り、デイパックを担ぐと外へ出る。

真っ白な息が真っ青な空に溶けていく。

クリスマス一色に飾られた街並みを歩いていく。

スパイスの香りに誘われてグリューワインを買い、一緒に売っていたシュトーレンを1つ購入した。

身体の芯から温めてくれるグリューワインを片手に駅へと向かう。

小さな姉弟が店番をしているヒュッテに足を止めた。

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