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Vesica Pisces
第4章 太陽は静寂を開く
誤解だった、全部。

ただ電話をしてるだけの立ち姿すら絵になる人。

嘉登ももちろんだけれど、類は友を呼ぶのだろうか。

子供の様に唇を尖らせたり、さらっと壁を超えてくる透にドキドキしないなんて嘘だ。

“俺は話したいし、知りたい”

目に残ったセリフを何度も繰り返す。

メールを開くと昌樹からの帰宅を促すものと、嘉登からクリスマスプレゼント選びを付き合って欲しいとの二通が届いていた。

昌樹にはもう駅に向かって歩いていること、嘉登には明後日の夜を提案した。

電話を終えた透と並んで信号を待つ。

「あの店美味かったな」

うんと頷く伽耶をじとっと見つめる。

『何?』

信号が青に変わっても歩き出さない代わりに、透に押し付けられたBMX。

点滅を始めた透は一人横断歩道を走りきった。

車が行き交う道を挟んだ向こう側。

「あのなぁ!お前の事なんか誰も見てねーよ!」

叫びながら、大きく手を動かす透。

「周りなんか気にしてんじゃねーよ!」

周囲にいる人が何人か透を見ているけれど、当の本人はそんな事には一切気にする様子もない。

「俺だけ見てりゃいいんだよ、バーカ!!」

何故この人はこんな勇気のいる事を軽々とやってのけるのだろう。

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