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こじらせてません
第3章 幽閉
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ミソラの評を聞いて、更にトモミの悲哀が深まった。
ああそうか、幼い頃に離婚したのだった。
アキラの父親が、「あまり母親と会うな」と言ったことからも、父母の間には大きな溝が生じていると察せられる。
だが母親にとっては、はなればなれになっても、子供は子供だろう。
「ミソラちゃんにとっては、お父さんとお母さんかもしれないけど、二人の間では男と女なの。二人にしかわからない、いろんなことがあるんだよ。だからね、子供でも、口を出せないことがあるの。でもたとえそうでも、ミソラちゃんに対する思いとは、まったく関係ないんだよ」
これもまた、祖母がミサに教えたことだった。
「お父さんは騙されたんだよ、トモミちゃんに。だから、この人は、お継母さんなんかじゃない。何回言わせんの?」
「……」
頑固だ。
――いや、それ以前に、祖母の訓戒をもってしても譲らないミソラの態度には、なにがしかの違和感があった。
「……ね、ミソラちゃん」
「ん?」
「さっきからね、私が使うおかあさんと、ミソラちゃんが使うおかあさんとで、……なんだか、感じが違う気がするんだけど」
「漢字?」
「うん、感じがね、なんとなく……」
するとようやく、
「ミ、ミサさん……。あの……」
アキラが小さな声で、口を挟んだ。
「えっと、トモミさんは、僕たちを産んでくれたお母さんじゃなく、その、父がもうすぐ再婚する人なんです」
「え……、あ……」
なるほど。違和感の正体が明らかになった。
大変、的外れな根拠に基づいてミソラを諭していたことになる。
混乱に加え、誤謬を犯した羞恥を盛られて、二の句を継げずにいると、
「そう。そんで、私とアキラの中等部のころの担任」
ミソラから、更に新たな切片が投げ込まれた。
これも、なるほどだった。
父親の再婚相手が、かつての担任教師とは。
ミソラには不潔に見えてしかたがないのだろう。
ああそうか、幼い頃に離婚したのだった。
アキラの父親が、「あまり母親と会うな」と言ったことからも、父母の間には大きな溝が生じていると察せられる。
だが母親にとっては、はなればなれになっても、子供は子供だろう。
「ミソラちゃんにとっては、お父さんとお母さんかもしれないけど、二人の間では男と女なの。二人にしかわからない、いろんなことがあるんだよ。だからね、子供でも、口を出せないことがあるの。でもたとえそうでも、ミソラちゃんに対する思いとは、まったく関係ないんだよ」
これもまた、祖母がミサに教えたことだった。
「お父さんは騙されたんだよ、トモミちゃんに。だから、この人は、お継母さんなんかじゃない。何回言わせんの?」
「……」
頑固だ。
――いや、それ以前に、祖母の訓戒をもってしても譲らないミソラの態度には、なにがしかの違和感があった。
「……ね、ミソラちゃん」
「ん?」
「さっきからね、私が使うおかあさんと、ミソラちゃんが使うおかあさんとで、……なんだか、感じが違う気がするんだけど」
「漢字?」
「うん、感じがね、なんとなく……」
するとようやく、
「ミ、ミサさん……。あの……」
アキラが小さな声で、口を挟んだ。
「えっと、トモミさんは、僕たちを産んでくれたお母さんじゃなく、その、父がもうすぐ再婚する人なんです」
「え……、あ……」
なるほど。違和感の正体が明らかになった。
大変、的外れな根拠に基づいてミソラを諭していたことになる。
混乱に加え、誤謬を犯した羞恥を盛られて、二の句を継げずにいると、
「そう。そんで、私とアキラの中等部のころの担任」
ミソラから、更に新たな切片が投げ込まれた。
これも、なるほどだった。
父親の再婚相手が、かつての担任教師とは。
ミソラには不潔に見えてしかたがないのだろう。
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