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こじらせてません
第3章 幽閉
消火器、どこに備えられていただろうか。
有事の際に、すぐに所在がわからないのは危険だな、と考えていると、

「……わかりました」

ベッドに正座していたアキラが、小さな声で言った。
それを聞いて、ミソラが、はあっ、と、トモミが、ふー、と息をついた。

「じゃあね、アキラ。早く帰ってきてね」
「アキラちゃん、ごはん、作って待ってますわ」

アキラを残して寝室を出る。

玄関から送り出さなければ、安心できなかった。

「んじゃね、ミサさん」
「失礼いたします」

そして、

「……私、ミサさんに生まれればよかった」
「本当に、わたくしもそう思います」

ミサは無表情でドアを閉めた。

強く鍵を捻った。
強く捻ったからといって、鍵の強度が増すわけではない。

そんなことは、わかっていた。

二人の足音が遠ざかっていく。
希望通り、やっと二人を追い出すことができたわけであるが、ドアを閉める前よりも、閉めた後のほうが悲しくなった。

回れ右をしたミサは、のっそりと廊下を進んだ。

寝室のドアの前にバッグが転がっている。
放り投げた記憶がない。打ち捨てるほど、気が急いていた。

アキラに早く会いたくて――、一人暮らしの部屋で、まだ寝室にアキラはいるが、声に出さずに思念するだけだから、誰の迷惑も省みなくてよい――、平たくいえば、早くヤリたくて帰ってきた。

そうしたら、女子高生と、女教師が、ミサの寝室で、ブライチでアキラに迫っていた。

ミサは寝室のドアを開けた。
アキラはベッドの上に正座をしたままだった。

――この子を、早く愛玩したくて、帰ってきた。

「アキラくん」
「……はい」

ミソラは、言っていることはともかくとして、いかにも可愛らしい女子高生だった。弾けんばかりの若さ。スカートの丈を詰めても差し支えない、瑞々しい肌が思い出される。

トモミもまた、言っていることはともかくとして、いかにもあだめいた女教師だった。歳を重ねた色っぽさ。本人が言っていたとおりの、豊満なバストが目を引いた。
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