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こじらせてません
第1章 捕縛
仮定だが、ごく自然な理解で「婚姻歴のある女性は性経験がある」とすると、先の未婚率の数字を利用して導かれる、全三十代前半で処女である人の割合は、10.8%なのだ。
「人」という単位を、実体に対して付すならば、小数点以下はありえない。なので楽観的にみても、十人に一人だ。
これを多いと見るか、少ないと見るかだったが、ミサは「少ない」と断じた。
自分と同じ状況の者を見つけようと思ったら、まず十八人、集めなければならない。
十人ではない。
抽出された集団においても、この比率は維持されるとみるべきだ。そして自分は処女だ。
なぜ、同じ状況の者を見つけたいのかというと、一致協力して、事態の打開を図りたいからだ。
それでは二人ではいけない。
馴れ合う可能性がある。
三人ならば、二十七人を集める必要がある。
これもいけない。
三人が牽制して、膠着状態になる。
四人。三十七人。
女は団結する。
二対二になると、処女云々よりも話がややこしくなる。
最低限、五人だ。
四十六人を集める必要がある。
ミサにとって、これは絶望的な数字だった。
ただ集めれば良いのではない。「あなたは処女ですか」と訊けるほど、そして訊かれて正直に答えられるほど、腹を割れる関係性を、四十六人と築かなければならないのだ。一年以上経ってから「主君の仇討ちに行こうぜ」と仲間を募るほうがよほど簡単に思える。
ちなみに、現在の自分が分類される、二十代後半の全体比処女率は19.99979%だった。
というか、20%だ。十人に二人だ。
倍の開きがある。
三十を越えるということは、それだけ大ごとだった。
不運にもミサには時間を止めたり、逆行させる能力はない。そしておおかたの人は、個性を尊重して欲しいと思うと同時に、皆と同じでありたいとも思う。
ジンテーゼがどうだこうだはともかく、ミサは、この件のみに関しては皆と同じでありたい、願わくば三十になるまでに89.2%の群に入りたい、と思った。
土日に溶けてから、そう決心した。
「人」という単位を、実体に対して付すならば、小数点以下はありえない。なので楽観的にみても、十人に一人だ。
これを多いと見るか、少ないと見るかだったが、ミサは「少ない」と断じた。
自分と同じ状況の者を見つけようと思ったら、まず十八人、集めなければならない。
十人ではない。
抽出された集団においても、この比率は維持されるとみるべきだ。そして自分は処女だ。
なぜ、同じ状況の者を見つけたいのかというと、一致協力して、事態の打開を図りたいからだ。
それでは二人ではいけない。
馴れ合う可能性がある。
三人ならば、二十七人を集める必要がある。
これもいけない。
三人が牽制して、膠着状態になる。
四人。三十七人。
女は団結する。
二対二になると、処女云々よりも話がややこしくなる。
最低限、五人だ。
四十六人を集める必要がある。
ミサにとって、これは絶望的な数字だった。
ただ集めれば良いのではない。「あなたは処女ですか」と訊けるほど、そして訊かれて正直に答えられるほど、腹を割れる関係性を、四十六人と築かなければならないのだ。一年以上経ってから「主君の仇討ちに行こうぜ」と仲間を募るほうがよほど簡単に思える。
ちなみに、現在の自分が分類される、二十代後半の全体比処女率は19.99979%だった。
というか、20%だ。十人に二人だ。
倍の開きがある。
三十を越えるということは、それだけ大ごとだった。
不運にもミサには時間を止めたり、逆行させる能力はない。そしておおかたの人は、個性を尊重して欲しいと思うと同時に、皆と同じでありたいとも思う。
ジンテーゼがどうだこうだはともかく、ミサは、この件のみに関しては皆と同じでありたい、願わくば三十になるまでに89.2%の群に入りたい、と思った。
土日に溶けてから、そう決心した。