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こじらせてません
第1章 捕縛
ところで、性経験のないミサだったが、興味がないわけではなかった。
なぜなら、性欲があるからだ。
そして、なにも安原は、たかが「なんだよ、その顔」と言っただけで、罰として、ミサが己が名前の呪縛に対する省察と、性経験の有無に対する見解のまとめを終えるまで待たされてたわけではない。
「なんだよも何もないけど。……誰もいないの?」
何もなくはなかったが、そう言った。
「ああ、さっきまで三宅がいたんだけど、高橋が来ないから行っちまった。『会ったら、社内を案内してるから連絡ちょうだい、って伝えといて』、だってさ」幸い安原は顔の件にはこだわらず、苦笑して、「相変わらずだな、あいつ」
ミサはここにはいない三宅理絵子へ眉をひそめ、目の前にいる安原には礼を言った。踵を返し、内線携帯で理絵子の番号を探しつつ、廊下へ出る。
……何とかしのげた。
安原に会うなり疾しい気持ちになって、「何だよ」と評される顔になってしまったのは、昨晩ミサは、彼が頼んでもいないのに、自慰の着想に使ったからだ。
そして安原では目的が果たされそうになかったので、彼が頼んでもいないのに、途中降板願ったから、なおさら疚しかったのだ。
なぜなら、性欲があるからだ。
そして、なにも安原は、たかが「なんだよ、その顔」と言っただけで、罰として、ミサが己が名前の呪縛に対する省察と、性経験の有無に対する見解のまとめを終えるまで待たされてたわけではない。
「なんだよも何もないけど。……誰もいないの?」
何もなくはなかったが、そう言った。
「ああ、さっきまで三宅がいたんだけど、高橋が来ないから行っちまった。『会ったら、社内を案内してるから連絡ちょうだい、って伝えといて』、だってさ」幸い安原は顔の件にはこだわらず、苦笑して、「相変わらずだな、あいつ」
ミサはここにはいない三宅理絵子へ眉をひそめ、目の前にいる安原には礼を言った。踵を返し、内線携帯で理絵子の番号を探しつつ、廊下へ出る。
……何とかしのげた。
安原に会うなり疾しい気持ちになって、「何だよ」と評される顔になってしまったのは、昨晩ミサは、彼が頼んでもいないのに、自慰の着想に使ったからだ。
そして安原では目的が果たされそうになかったので、彼が頼んでもいないのに、途中降板願ったから、なおさら疚しかったのだ。