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こじらせてません
第3章 幽閉
電灯が射して、目を細めている。
彼の瞳孔が調整されるまで、ミサは落ちてくる瞼を、閉じずに待った。

「……見た?」
「はい……」

肯定を返されて、胸の中をわしづかみにされる。

「へん、かな……?」

両手で顔を覆いたいが、バストの前で組んだまま、肘に爪を立てて耐えていた。

「い、いえ、その、すごく……」
「すごく?」
「キ、キレイです」
「ウ、ウソ……、だよ、そんな」

股間の中心に、痛烈な視線を感じる。
ものすごく、見ている。

「ウソじゃないです」

誤謬があるのはわかっていた。

この体勢ですべてを晒せば、思春期の少年が凝視してしまうところは一つだ。

「ね、アキラくん。どこ見てる?」
「……」

アキラのほうが、耳の先まで赤くして、慌てて目線を脇へそらした。

「お風呂はいってきたよ。さっき」

寝室に入り、こんな体勢になるまでに、アキラと抱き合ってキスをしただけで、入浴が無意味だったのではないかというほど淫りがわしい粘液にまみれている。

入浴したのに同じ下着に脚を通したのも、脱衣所からもう「疼いて」いて、ならば今朝アキラのために選んだせっかくの下着を、棄却したくはなかったからだ。

最終チェックに抜かりはなかった――

「ちゃんと、見て」

アキラがおずおずと、目線を戻した。

股間に、ふたたび、焦点を感じる。

ミサは、大きく深呼吸をした。

「ね、アキラくん。見てるとこ、ちがうよ?」
「え……?」

すべてを、見せるつもりだった。
だから、アキラを待たせてでも、入浴したのだ。

「……。私ね、化粧してない」
「え……、あ……」

アキラの目線の角度が変わる。

いきなり見られるのは怖かった。

だから、その手前に、思春期の男の子が食いつきそうな餌を置いた。そうやって、緩和した。

思えばアイマスクをさせ続けてきて、ハードルがずいぶんと上がっていたに違いなかった。

姉や継母のも見てきているかもしれない。
華飾がなくなれば、幻滅してしまうかもしれない。
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