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こじらせてません
第3章 幽閉
つまり、迷惑をこうむる者は誰一人としていない──

「……。……い、いいよ」

だいたい、「後ろからしたいです」という表現は、いったい何をする気だという、不安と期待をないまぜに煽ってくる。

(うはー……)

シーツがこすれる音がして、距離を詰められた。

「なに、……してたんですか?」
「ん……、んー? ちょっと、……買い物かな」

まだショッピングサイトを開いていない。
二人で選ぶつもりだったが、このままショッピングにいそしんだら、購入数の桁を間違えそうだった。

「じゃま、ですか?」
「んーん。……そんなことないよ」
「……あの」
「さわり、たい?」
「はい」

はあっ、と吐息が漏れた。

ベッドのそばに置いているアラームを見ると、終電時間を超えていた。
アキラはまだ部屋にいる。朝までいてくれる。ずっといてくれる――

「すこしなら、いいよ」

そう言うと、彼の手が脇腹を捉えてきた。
熱っぽい手つきで、前へ巡ってくる。

「こ、これ、……すこしじゃない」

重力にしたがっているバストを、手のひらに包まれる。
目線を下げると、ちょうど親指が人差し指の節とのあいだに突起を挟むところだった。

「はんっ……」

キュッと抓られたあと、お前がそうしたくせに、甘痛を癒すように捏ねてくる。

やはり、替えのシーツが早急に必要だった。
バストから送り込まれる愉楽が身をくねらせ、くねることで背中が彼の胸にこすれると、脚の間が次々と滑っていく。

「いや、ですか?」
「……んーん、や、やじゃない……よ? へいき」

のたまうだけでは、説得力に欠ける。
平気ぶりを表そうと、ミサはスマホを眼前に掲げた。

アキラはバストをいつくしみながら、鼻先で髪をよけると、耳をはんできた。

「あっ……、ん」

ぷるぷると、耳たぶを舌先で弾かれる。

たっぷりと交わってから幾ばくも経っていないのに、こんなことで脚の間が陳情しているのを知られたくなくて、ミサは腰の動きを必死にとどめた。
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