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こじらせてません
第3章 幽閉


(ぐむむむむむ……)

安原からメッセージが返ってきた。

『あー、俺、中高と全寮制だったから、まったくもらってなかった』

大根役者な上に、役立たずだった。

突然唸れば、隣にいるアキラは気味悪がるだろう……いや、彼女が唸っているのだから、気味悪がるのではなく、心配してほしい。

だが、ミサは思念の中で唸っていたので、アキラが鳥肌を立てたり、顔を曇らせたりはしなかったのも、仕方なかった。

アキラとの生活は、発注したシーツがすぐに届けられたこともあり、順調に進んでいた。

毎日、「仲良く」している。

仲良くしすぎているような気もするが、アキラはミサの彼氏であり、ミサはアキラの彼女である。そして、アキラはミサのペットであり、ミサはアキラのあるじである。ペットの能動的行動を、あるじは正しくコントロールした結果、シーツは順調に、毎日洗濯・乾燥されていた。

正しい制御と行動が保たれている証左であり、仲良くしすぎることで支障をきたすことは、何一つないのだった。

一点気になることといえば、線の細い少年にしては、漲りがハンパではない。「思春期だから」というひとことでは、片付けられないほど熱烈だ。

絶倫。
不世出のルックスと、この言葉は結びつきがたかった。

だがよくよく調べてみると、もともとは「たぐいまれなる」といった、単に程度の高さを表す語だった。精力と一義に結びつくものではない。しかし、いくら辞書にそう書かれているといっても、日常会話においては、「絶倫」は精力が強い意であるし、ミサもまた、そう捉えてきた。

つまり、辞書的な意味でも、通俗的な意味でも、アキラは絶倫に間違いなかった。

毎日、夜遅くまで、ともすれば早朝と言える時間まで、仲良くしているのだから、寝不足が続いていた。

ソファに美しく腰掛け、テーブルに置いたノートパソコンを操作していた。その隣で、アキラは静かに本を読んでいる。先ほど、コーヒーを煎れてくれた。
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