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こじらせてません
第3章 幽閉
「そういえばアキラくんは、仕事……っていうか、アルバイト、してないの?」
「バイトは学校で禁止されてるんです」
「そうなんだ。厳しいねー。私の学校もそうだったけど」

性道徳が行き届いていないF大系列なのに、アルバイトが禁止なのは意外だ。

「じゃ、おこづかいとか、足んなくなるでしょ?」

高校生の収入事情については、てっきり文科省あたりが調査していると思っていたが、見当たらなかった。総務省統計局も頼ったが、「こづかい」としての支出についてはまとめてあるものの、渡す相手が高校生に限定した数値はなかった。

だが粘り強く調べてみると、金融関連の団体が詳細なる調査を行ってくれていて助かった。

定期的にもらっているおこづかいが足らなくなることがあるか、という問いに対し、「よくある」「ときどきある」と答えた男子高校生は、無回答者を除くと70.2%だった。

多くの男子高校生が、おこづかいに困っていた。

そして、足らなくなったときの対処方法は、「次のおこづかいまでがまんし、節約する」という回答が最多で43.9%だった。

多くの男子高校生が、ストイックだった。

そもそもこれは、「定期的におこづかいをもらっている」子たちの回答だ。

「定期的におこづかいをもらっている」子は61.0%である。

「必要な都度、おこづかいをもらっている」子が22.7%。
「おこづかいをもらっていない」子も16.2%もいた。

ミサの学校も、アルバイトは校則で禁止されていた。だから、高校卒業までアルバイトを経験していなかった。こづかいに関しては、「必要な都度」もらっていた。

浪費家ではなかったと思うが、足らなくなった経験はあり、学用品を買うときはともかく、嗜好品を買う時は、親に言いづらかったのを憶えている。

(えっ……)

更に結果を読み進めて驚いた。

調査では、「おこづかいで買ったり、支払ったりするもの」についても、問うていた。

その中には、「昼食」もあった。
「よくある」「ときどきある」と答えたのは、73.5%だ。

これは、他の選択肢に、「おやつなどの飲食物」「友達との外食・軽食代」があることからして、いわゆる「買い食い」という嗜好的なものは含まず、純然たる昼食のみを指していると考えられた。
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