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こじらせてません
第3章 幽閉
「んー……、私、アキラくんのお昼ごはんのこと、ぜんぜん忘れちゃってて。そういえば、おこづかい渡してなかったな、って。自分から、『おこづかいください』なんて言い出しづらいでしょ、ふつう」
「……ミサさん」
するとアキラが、神妙な顔で見つめてきた。
「ん?」
「その、ちゃんと払います。服とか、食べ物とか、光熱費とか……」
「いいの、そんなの気にしないで」
「だって、たくさん買わせちゃって……。シーツとかまで」
「……シーツ?」
「え、あっ……」
サイドテールを解いておいてよかった。
顔つきは忍耐とファンデーションでなんとかなるが、耳先が赤くなるのはいかんともしがたい。
「あっ、て、なに?」
「いえ、……ごめんなさい」
「また、あやまる。わるいことしてるの?」
羞恥が言いがかりを呼ぶ。
ミサは語気を荒らげることで隠匿を図った。
「アキラくんがするからでしょ? あやまるなら、もうしないよ?」
「そんな……」
「しない?」
「……」
「ほら黙った。おこづかいは、いらないなら、無理には渡さないし……ゆ、指も、しないなら、無理にはさせない」
「します……」
「イヤイヤ?」
「したいです……」
なんだか言わせている気分になってきて、羞恥が悲哀に変貌しそうだった。羞恥の延長線上に愉悦はあるが、悲哀の延長線上には、ない。
気を取り直そう。
「……私が仕事してるあいだ、本読んでるフリして、チラチラ見てたでしょ?」
真横のアキラがチラ見していたのを見たということは、ミサもまたアキラをチラ見していたということだったが、委細かまわずに言うと、
「はい」
と返事をされて、メガネをかけ、ヘアスタイルを変えた甲斐があったというものだった。
「見とれてた?」
「はい……。仕事してるときのミサさん、キレイで、カッコよくて」
「……仕事してるとこ見て、興奮してた?」
「はい……、いえ……」
……まだ、言ってはくれない。
ミサは脚を組んでみせた。なお、フロントスリットである。
「そんな言いかただと、したのかしてないのか、わからない」
「し、しました」
「会社に来てたときもしてた?」
「え、えっと……。見てました」
「興奮してたかどうか、きいてるの」
「……ミサさん」
するとアキラが、神妙な顔で見つめてきた。
「ん?」
「その、ちゃんと払います。服とか、食べ物とか、光熱費とか……」
「いいの、そんなの気にしないで」
「だって、たくさん買わせちゃって……。シーツとかまで」
「……シーツ?」
「え、あっ……」
サイドテールを解いておいてよかった。
顔つきは忍耐とファンデーションでなんとかなるが、耳先が赤くなるのはいかんともしがたい。
「あっ、て、なに?」
「いえ、……ごめんなさい」
「また、あやまる。わるいことしてるの?」
羞恥が言いがかりを呼ぶ。
ミサは語気を荒らげることで隠匿を図った。
「アキラくんがするからでしょ? あやまるなら、もうしないよ?」
「そんな……」
「しない?」
「……」
「ほら黙った。おこづかいは、いらないなら、無理には渡さないし……ゆ、指も、しないなら、無理にはさせない」
「します……」
「イヤイヤ?」
「したいです……」
なんだか言わせている気分になってきて、羞恥が悲哀に変貌しそうだった。羞恥の延長線上に愉悦はあるが、悲哀の延長線上には、ない。
気を取り直そう。
「……私が仕事してるあいだ、本読んでるフリして、チラチラ見てたでしょ?」
真横のアキラがチラ見していたのを見たということは、ミサもまたアキラをチラ見していたということだったが、委細かまわずに言うと、
「はい」
と返事をされて、メガネをかけ、ヘアスタイルを変えた甲斐があったというものだった。
「見とれてた?」
「はい……。仕事してるときのミサさん、キレイで、カッコよくて」
「……仕事してるとこ見て、興奮してた?」
「はい……、いえ……」
……まだ、言ってはくれない。
ミサは脚を組んでみせた。なお、フロントスリットである。
「そんな言いかただと、したのかしてないのか、わからない」
「し、しました」
「会社に来てたときもしてた?」
「え、えっと……。見てました」
「興奮してたかどうか、きいてるの」