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こじらせてません
第4章 拘繋
ミサはパジャマの襟首をつかんだ。
「じゃ、どんなつもり?」
「どんなつもりって、り、理絵お姉ちゃんは、そんな……」
なんだ、その近しげな呼び方は。自分は「さん」づけなのに。
「理絵子、キレイだもんね。もしかしていままでも、なんか変なこと、したことあるんじゃないの。理絵子はミソラちゃんやトモミさんとは違うもんね」
「いえ、理絵お姉ちゃんは、そんな人じゃないんです……」
やけに理絵子のことをかばう。
言いがかりとやつあたりを声に出していたら、一緒に手も動き始めた。
パジャマのボタンを外していく。
アキラは無抵抗だった。
袷を開いて、美しい上躯をあらわにする。
震えていた。廊下で身を剥がれて寒いから、ではない。そんなことはわかっていた。
「ほんと、まだ他にも隠してること、あるんじゃないのかな。わたしに言ってない女いるでしょ?」
「かくして、ないです」
「アキラくんてば、何か変なフェロモン出てる。今すぐとめて」
「そんな……」
床に投げ出されている腕が、粟だっていることに気づいた。
「もうっ!」自分で言っていて、イライラした。「社会学習の事後ヒアリングの件、理絵子から連絡来たんだって? それもきいてない。だいたい、なんで勝手にメッセのやりとりしてるの? あとで携帯見せてね? アドレス帳も全部チェック。いいよね?」
「……」
「信じてたのに、こういうことがあるから、チェックしなきゃいけないことになっちゃうの。わかってる? 見せてね」
「……」
「返事」
「……」
胸板についていた両手の爪を立てると、彼がわずかに呻いた。
「返事っ!」
まばたきをこらえていたが限界だった。
ひたひたと、繊美な肌へと涙粒が落ちる。
「ごめんなさい……」
これは返事ではない。
返事を待っていたのに謝罪が聞こえたから、慌てて顔を覆った。手のひらが濡れいていく。
アキラが起き上がってきた。
頭を撫でられて、ミサはかぶりを振った。
「あやまらなくてもいいし、ペットがそんなことしなくていい……」
「ペットも、飼い主が泣いてたら心配します。自分のせいで泣いてたら、あやまります」
「うう……」
「じゃ、どんなつもり?」
「どんなつもりって、り、理絵お姉ちゃんは、そんな……」
なんだ、その近しげな呼び方は。自分は「さん」づけなのに。
「理絵子、キレイだもんね。もしかしていままでも、なんか変なこと、したことあるんじゃないの。理絵子はミソラちゃんやトモミさんとは違うもんね」
「いえ、理絵お姉ちゃんは、そんな人じゃないんです……」
やけに理絵子のことをかばう。
言いがかりとやつあたりを声に出していたら、一緒に手も動き始めた。
パジャマのボタンを外していく。
アキラは無抵抗だった。
袷を開いて、美しい上躯をあらわにする。
震えていた。廊下で身を剥がれて寒いから、ではない。そんなことはわかっていた。
「ほんと、まだ他にも隠してること、あるんじゃないのかな。わたしに言ってない女いるでしょ?」
「かくして、ないです」
「アキラくんてば、何か変なフェロモン出てる。今すぐとめて」
「そんな……」
床に投げ出されている腕が、粟だっていることに気づいた。
「もうっ!」自分で言っていて、イライラした。「社会学習の事後ヒアリングの件、理絵子から連絡来たんだって? それもきいてない。だいたい、なんで勝手にメッセのやりとりしてるの? あとで携帯見せてね? アドレス帳も全部チェック。いいよね?」
「……」
「信じてたのに、こういうことがあるから、チェックしなきゃいけないことになっちゃうの。わかってる? 見せてね」
「……」
「返事」
「……」
胸板についていた両手の爪を立てると、彼がわずかに呻いた。
「返事っ!」
まばたきをこらえていたが限界だった。
ひたひたと、繊美な肌へと涙粒が落ちる。
「ごめんなさい……」
これは返事ではない。
返事を待っていたのに謝罪が聞こえたから、慌てて顔を覆った。手のひらが濡れいていく。
アキラが起き上がってきた。
頭を撫でられて、ミサはかぶりを振った。
「あやまらなくてもいいし、ペットがそんなことしなくていい……」
「ペットも、飼い主が泣いてたら心配します。自分のせいで泣いてたら、あやまります」
「うう……」