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こじらせてません
第4章 拘繋
アキラは細かく首を振った。

「よ、よくわからないよ、そんなの」
「私もよく、わからないけど。……えっと、お、おし、お、おし、しりとかも」
「……」

噛みまくったから、聞き取れなかったのだろうか。

あるいは、象徴化した語用だったから、たとえば、割れ目を使うのか、と間違って伝わってしまっただろうか。

もっとハッキリと、器官名で言い直すべきだ。日本語よりも、ラテン語を用いるほうが一般的だろう。先ほどもラテン語だったので。

「だ、だからね、あな――」
「そんなこと、しなくていいです」

アキラが、パジャマの上からミサの手を止めた。

「あ、じゃ、やっぱり脇のした……」

そうだ。
脇の下ができるのなら、似た構造を持つ、膝でもできるはずだ。アキラは、脚が好きだ。そっちのほうが喜ぶと思う。

「ミサさんは、そんなことしなくても、大丈夫です」

提案する前に言われて、反射的にギュッと握りを強くした。

「ダメッ。私は、って、なに? 『は』って! やっぱり、ほ、他の女とするつもりなのっ?」
「ち、違います。……ガ、ガマンします」
「そんなの無理だよ! 思春期なのに、出さなきゃ大変なことになっちゃう。きっと、あふれてくる! いつもいつも……、何回もしても、あんなにいっぱい出るのに! アキラくんみたいなカワイイ子が、あんなに出すもんだとは思わなくて、……んと、思わなくて、ビックリしてたんだけど、でも、たしかに歳を考えたらそれもそうだと思うし、ゴムはたくさん買ったから足りるし、いっぱい出してくれてもべつにいいんだけど、それなら毎日きもちよくしなきゃ――」

ミサが言うにつれて、アキラが紅潮していった。

「……だ、出しすぎ、ですか……」

辱しめようとしたわけではない。
ただ、心配しているだけだ。

「――じゃなくて。ぺットにガマンさせたくないの」
「ガマン、します。体調悪いのに、そんなことさせたくないんです」
「……でも」
「大好きな飼い主に、辛いことさせたくないんです」

アキラが頬にキスをした。
面の向きを変えると、唇にも。

今夜は、セックスはできない。
だからこれは、その2だろうか。

「あの……、ガマンできなかったら、自分でしますから」

ミサは唇を離して、間近に彼を見つめた。
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