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こじらせてません
第1章 捕縛
手伝ってくれる間に盗み見た彼の姿に、胸が高鳴って、見とれることがしばしばあった。だが仕事のため、そして今後も同期として仲良くやっていくために、彼の気持ちからは目を逸らし、自分の気持ちは偽ってきたのだ。
その努力が無駄になってしまう……拒まなければ。
「んんっ、やっ、だめっ……」
しかし否みを伝えるより先に、手がスカートの中へと及んできた。
「もう、いいよな。俺たち」
「んっ、……なにが?」
「もう意地はるのよそう。くっついちまおうぜ?」
脚の付け根近くまで指先が及んでいる。意図的に男として意識してこなかった同期の前で、はしたなくスカートが捲れて恥ずかしい。しかし腕を取って妨げるでもなく、ミサはずっとワイシャツの袖を握っていた。
「……」
「言ってくれよ」耳朶へ唇を触れさせたまま、熱い吐息混じりに、「めちゃ好きな女を無理矢理、ヤリたくない」
安原の手は、内ももに留まっている。彼の忍耐が微震となって伝わってくる。
「……」
「なあ」
「……」
髪が撫でられ、彼の方へ顔を向けさせられる。薄目を開き、おそらくは切なげな眼差しを受け止めようとすると、
「なあ、……ミサ」
終了。
試しに、差し込んでいた指を、脚の間の奥まで入れてみたが、ショーツの表面はまったく凪いでいた。
ファーストネームで呼ばれたことが決定打だったが、反省点はいくつかあった。
安原は、この役のイメージに合わない。
昂奮のため豹変したのだ、と仮定したとしても、ギャップ萌えも感じない。失望するだけだ。
「だめっ」と言えば、スカートに手を突っ込む前に、安原ならばもっと紳士的に口説いてくるだろう。二人で飲んでいる時、スカートに手を入れたがっている素振りは、まるで感じられなかった。
残念ながら、安原はまったくの大根だった。
とはいえ、自分も至らぬところはあった。だいたい、彼のことを呼び捨てにしたことがない。キチンと「安原くん」と呼ぶ。やはり、オフィスで迫り来る男は、マンガの中の同期君でなければいけなかったし、イケなかった。
(想像力足らないのかな……)
自分のスキル不足が懸念された。いずれにせよ、没入感が増すという判断は、誤っていたと言わざるをえない。
「ごめんね」
海に誘われた時と同じ文言を呟いた上、安原に退場いただいた。
その努力が無駄になってしまう……拒まなければ。
「んんっ、やっ、だめっ……」
しかし否みを伝えるより先に、手がスカートの中へと及んできた。
「もう、いいよな。俺たち」
「んっ、……なにが?」
「もう意地はるのよそう。くっついちまおうぜ?」
脚の付け根近くまで指先が及んでいる。意図的に男として意識してこなかった同期の前で、はしたなくスカートが捲れて恥ずかしい。しかし腕を取って妨げるでもなく、ミサはずっとワイシャツの袖を握っていた。
「……」
「言ってくれよ」耳朶へ唇を触れさせたまま、熱い吐息混じりに、「めちゃ好きな女を無理矢理、ヤリたくない」
安原の手は、内ももに留まっている。彼の忍耐が微震となって伝わってくる。
「……」
「なあ」
「……」
髪が撫でられ、彼の方へ顔を向けさせられる。薄目を開き、おそらくは切なげな眼差しを受け止めようとすると、
「なあ、……ミサ」
終了。
試しに、差し込んでいた指を、脚の間の奥まで入れてみたが、ショーツの表面はまったく凪いでいた。
ファーストネームで呼ばれたことが決定打だったが、反省点はいくつかあった。
安原は、この役のイメージに合わない。
昂奮のため豹変したのだ、と仮定したとしても、ギャップ萌えも感じない。失望するだけだ。
「だめっ」と言えば、スカートに手を突っ込む前に、安原ならばもっと紳士的に口説いてくるだろう。二人で飲んでいる時、スカートに手を入れたがっている素振りは、まるで感じられなかった。
残念ながら、安原はまったくの大根だった。
とはいえ、自分も至らぬところはあった。だいたい、彼のことを呼び捨てにしたことがない。キチンと「安原くん」と呼ぶ。やはり、オフィスで迫り来る男は、マンガの中の同期君でなければいけなかったし、イケなかった。
(想像力足らないのかな……)
自分のスキル不足が懸念された。いずれにせよ、没入感が増すという判断は、誤っていたと言わざるをえない。
「ごめんね」
海に誘われた時と同じ文言を呟いた上、安原に退場いただいた。