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こじらせてません
第4章 拘繋
「手、はなしていいよ。支えて?」
ミサはアキラの両肩へ手を置き、アキラは腕を解いてミサの腰へと巡らせ、お互い引き寄せて距離を縮めた。
「ふいてないけど、キスできる?」
「うん」
撥ねる音を立てて、キスをする。
最初に言い置いてしまったから、その2のつもりでいるかもしれない。
(……)
いっぱい出してくれた。
毎度メスシリンダーで計測しているわけではないから正確性は欠くが、体感では、いつもと変わらなかったと思う。しかし、宣託の量が彼の悦びの度合とイコールであると思っていたのに、調べてみると、生理学上の根拠はないらしかった。
訊いてみなければわからないし、訊くすべもあるが、訊いたところで心の底から安心はできない、ペットがどれくらい喜悦を感じてくれたのか、可視化するすべはないのだろうか。
(……やだなぁ)
キスを交わしながら、ミサはそう思った。
キスが嫌なわけではない。そんなわけはない。
顔肌を垂れ落ちる雫は、彼が溜め込んでいた精だ。
麗しい。宝財のようにも思えた。
そういえば精を溜めるのも、財を貯めるのも、音韻は同じだ。
いま、彼は精財を消費したのである。
そうとらえるならば、彼の喜悦は限界効用といえた。
もっとも、そうとらえたのは自分だけではなかった。
すでにネット上では、恋愛には限界効用逓減の法則が成立すると、あまたの人が言及していた。
法則が成立するならば、陳腐化は不可避である。
「……したい?」
「え?」
「はいりたい?」
「でも、ミサさん、まだ……」
「んーん、アキラくんがイヤじゃなかったら……、……できるよ」
もう一日待てば、気にすることなく仲良くできるのだが、宣託の熱さに触れて、匂いを嗅ぐと、差し迫る我欲にはあらがえなかった。
それに、何日も口による愛撫ばかりでは、陳腐化する。してしまう。
「でてきちゃうかもしれないから、見せたくない。だから、このままだけど」アキラへ跨ったまま、スカートの裾をももまで引いてみせた。「……する?」
「う、うん」
「ねんのため、持ってきといてよかったね」
ミサはアキラの両肩へ手を置き、アキラは腕を解いてミサの腰へと巡らせ、お互い引き寄せて距離を縮めた。
「ふいてないけど、キスできる?」
「うん」
撥ねる音を立てて、キスをする。
最初に言い置いてしまったから、その2のつもりでいるかもしれない。
(……)
いっぱい出してくれた。
毎度メスシリンダーで計測しているわけではないから正確性は欠くが、体感では、いつもと変わらなかったと思う。しかし、宣託の量が彼の悦びの度合とイコールであると思っていたのに、調べてみると、生理学上の根拠はないらしかった。
訊いてみなければわからないし、訊くすべもあるが、訊いたところで心の底から安心はできない、ペットがどれくらい喜悦を感じてくれたのか、可視化するすべはないのだろうか。
(……やだなぁ)
キスを交わしながら、ミサはそう思った。
キスが嫌なわけではない。そんなわけはない。
顔肌を垂れ落ちる雫は、彼が溜め込んでいた精だ。
麗しい。宝財のようにも思えた。
そういえば精を溜めるのも、財を貯めるのも、音韻は同じだ。
いま、彼は精財を消費したのである。
そうとらえるならば、彼の喜悦は限界効用といえた。
もっとも、そうとらえたのは自分だけではなかった。
すでにネット上では、恋愛には限界効用逓減の法則が成立すると、あまたの人が言及していた。
法則が成立するならば、陳腐化は不可避である。
「……したい?」
「え?」
「はいりたい?」
「でも、ミサさん、まだ……」
「んーん、アキラくんがイヤじゃなかったら……、……できるよ」
もう一日待てば、気にすることなく仲良くできるのだが、宣託の熱さに触れて、匂いを嗅ぐと、差し迫る我欲にはあらがえなかった。
それに、何日も口による愛撫ばかりでは、陳腐化する。してしまう。
「でてきちゃうかもしれないから、見せたくない。だから、このままだけど」アキラへ跨ったまま、スカートの裾をももまで引いてみせた。「……する?」
「う、うん」
「ねんのため、持ってきといてよかったね」