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こじらせてません
第4章 拘繋
ミサはポケットに忍ばせていたコンドームの封をちぎって手渡した。

引き続き剛然としている神威へ被せられていくあいだに、スカートをたぐり、指を引っ掛けてショーツを脇へ引く。

「は、はいってるとこ、見ないでね」

膝を進めると、真下から見上げている神威の上へ腰を降ろしていった。

スカートの中では、ミサからも見えない。
二人で息を合わせて、入口を特定する。

「んあっ……」

声が濁った。何日か置いただけなのに、神威が門を広げてくぐってくる感覚が鮮やかだった。

腰を降ろすにしたがって、神威が道を拓いていった。
弓反りになる背を、後ろへ転げ落ちないようにアキラが支えてくれる。

つまり、背中に触れられている。

(あっ、おく……)

届いた。
だが、まだ関節は屈し切っていなかった。

こんな体勢で繋がったのは初めてだった。

密着度が高い。それは嬉しい。
自由度も高い、と思っていたが、それは違った。

中途半端な加重を保っていると、下肢の筋肉が疲弊してくる。

「あんっ……」

間近なのに、恥ずかしい声が漏れた。
アキラの首へ抱きついて力を逃しつつ、最後までヒップを降ろした。

体の中へ埋伏しても、存在感は抜群だった。

マンガは静止画の集積だが、バリキャリ主人公が少年の体の上で躍動していることは、彼女の腰や脚へ付されたスピード線が物語っていた。

――だが自分は動けない。

そう思っていたら、動いていた。
動かしているつもりはない。

だが、ゆるく腰が前後して、接面を軽くでも擦ろうとしてきかなかった。

「きもち、いい?」
「きもちいい、です」
「今日まだ、一度も、言ってないけど、いいの?」
「……?」

怪訝な顔をしている。

いましがた、顔に撒いたばかりだ。だから、「いって」は異なる漢字だと、わかるだろうに。

「もう、いい。おりる」
「えっ、あ、まって、ミサ、さんっ」

背の腕に力を込めらえて、引き止められた。
抱きしめられると反動により神威が深く入り込んで、奥をグイと圧した。

「うあっ……!」

頬をこすりあわせる。宣託の名残が凝着しているはずだが、アキラのほうからもこすりあわせてきてくれた。
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