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こじらせてません
第4章 拘繋


――理絵子が飛びついてきた。

結構、くらいに思っていたが、かなり、酔っ払ってしまっている。
そう解釈すれば、ミサと同じ個室に入って、鍵を閉めてしまったことにも合点がいった。

こうやって飛びつかれたのも、足元がおぼつかなかないせいだ。身を投げ出すようにしてきているのも、身長差により、つかまりやすいからだろう。

さあ、しっかり立ってほしい。

三十路の女二人――いや、自分はまだ29.875歳だった――二人合わせれば平均して三十路となる女が、酒に酔ったあげく、トイレで前後不覚になっているなど、たいへん不名誉なことだ。

「ミサぁ……」

しなだれてくる。

こちらも普段より力が入らない状態である。あまり力を加えられると、支え切れない。
いかに綺麗にされているとはいえ、トイレの中で膝をつかせてしまうのは忍びなかった。

だが、それならば、力は下方にかかってしかるべきである。

カカカカッ――
靴裏が鳴った。二人ぶんの。

理絵子の力は前方に向かって加えられていた。
つまり、ミサは後ずさった。

いかに広い個室とはいえ、後ずさるにも限界がある。
壁を背負わされてしまった。

ぐいぐいと進んでくる。よって彼女の身体と壁に挟み込まれた。

「やっと二人っきりー」

理絵子はご機嫌である。
じゃれついてきている。

だが、おふざけが過ぎる。

ミサ自身、会社のトイレを目的外利用してきて、じゅうじゅうわかったことだが、個室というところは映像的密室であるが、音声的密室ではない。

早くしなければ、有名化粧品メーカーの中堅女子社員たちの不様な姿を誰かに見咎められて、いや、聞き咎められてしまう。

「ね、理絵子。一緒に入っちゃってる」
「うん、わかってるよ」

酔っ払いの「わかっています」は、信じてはいけない。

「酔いすぎだよ、しっかりして」

トイレとは、あてなくぶらりと立ち寄る場所ではない。

本来的な用途もさることながら、目的外利用も含めて、なにがしかの用事を済ませるために訪れる場所である。

ミサもそのためにやってきた。

彼女へ伝えた通り、嘔気はない。
だから介抱は必要ないし、これは介抱を行う体勢でもない。
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