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こじらせてません
第4章 拘繋
アキラと交わしているときとは、趣がまったく異なった。

ゴリマッチョにはほど遠いアキラだが、やはり、理絵子と比べれば体つきは男性的だったのだ。
こうして密着していると、着衣越しにお互いのバストの弾力を感じる。また、彼女の身のくねらせ方は、当然女性的で、大変艶かしい。

そして……手練れている。
思春期の欲求に衝き動かされるものではない、巧緻な唇と舌の運び方が、顎を滲みさせてきた。

「……んんっ」ちょっとシャレにならない。「ね、ねえっ……ちょ、ちょっとま、まって……」

「んっ、待てないよぉ……、んむ……」
「……んぷっ、……で、でも待って!!」

音声的密室ではないが、大声で遮るしかなかった。

ようやく、理絵子が唇を離してくれた。
今まで、見たことがない顔つきだ。蕩けている。

「……え、えっと、んと……」

髪を耳にかけたかったが、指が震えてできなかった。

理絵子の頭の上で豆電球が点いたのが見えた気がした。ミサの仕草を察し、目の前に垂れていた髪をかけてくれる。

ちなみに、髪が邪魔だったわけではない。
髪を耳をかける行為じたいが意味をなすのだ。クセとはそういうものだ。

したがって、髪はかきあがっても、ミサの心は落ち着かなかった。

大声で制したわりには、何も言えずにいると、

「私、キス上手でしょ?」

理絵子はそう問うて、答えを待たず、また顔を近づけてきた。

「ま、待って! ……うん、じょうず。上手だから、待って!」
「うれしいっ。もっとしたげる」
「待った! ストップ!」

あまり言葉に詰まっているわけにはいかない。

飛び込んだ我が家の寝室で女子高生と女性教師がブライチだった、その経験によって、精神的衝撃に対する耐性が身についたものと思っていたが、過信だったと言わざるをえない。本当に、何から質してよいやらわからなかった。

「あの……、えっと。どういうこと?」

だから結果的に、ずさんなオープン質問をするしかなかった。

「こういうこと」
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