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こじらせてません
第4章 拘繋


バリキャリ女は後輩クンに呼び出され、スマホを見せられていた。

普段、キリリとしているヒロインの顔が赤らむ。いつも純真で、頼りなさげな後輩クンは、一転、居丈高で邪悪な笑みを浮かべていた。

みんなにバラされたくないですよね?
当然、そうなる。

ヒロインは、キッと睨み返す。
当然、そうなる。

しかし、後輩クンの手が伸びてきて、壁に押し付けられるわ、衣服の中へもぐりこまされるわ、されるがままになっていくのである。

もちろん、彼女は屈辱を感じる。

普段、キリリとして仕事にあけくれている場所で、普段、キリリとして指導してきた下位の男に弄ばれるのだから、当然である。

しかも、ただ抱かれるのではない。
必死に否定しても、淫らな反応を肉体の随所に見咎められ、はしたない姿態を彼の前に晒すことになるのである。

ここらに至ると、ヒロインの屈辱は疑問に変わっている。

こんな卑怯なヤツにされて、イヤなはずなのに、なんでわたし……なぜか、そうなる。

その疑問の答えは、後輩クンから与えられる。

「それは、高橋さんがMだからですよ」

もちろん、ああなるほどそうでしたか、と納得するはずがない。

ヒロインは、悩む。容易に整理がつくものではない。

もはや彼女を煩悶させる元凶は、スマホに投影された写真でも、それを利用して脅迫を仕掛けてくる後輩クンでもなく、自分自身の猥乱さへと移っている。認めがたい気質を看破され、性楽に浸されて乱れてしまった後悔が、湧き起こるのである。諺語に頼るまでもなく、後になって苛まれるから後悔なのであるが、後ろめたさの中に妖しげな期待も混ざっているものだから、彼女の気持ちの整理を阻害し、諦念すら指嗾してくるのだ。

そのあいだにまた、後輩クンに呼び出され、性楽に浸される。

「高橋さんみたいな、プライドが高い人をイジメるのって、すごく楽しいですね。……ほら、シてくださいよ。こんな恥ずかしいカッコでするの、ドMの高橋さんなら、まんざらでもないんでしょう?」
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