この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
こじらせてません
第4章 拘繋
なぜならば、後輩クンには共通点がある。
総じて、イケメンだ。

昼休み、後輩クンが誘ってきて、公園のベンチで横並びで弁当を食べ始めると、もうかなりあやしい。イケメンの表現には、美しい食べ方がつきものだから、常套となるのも無理はない。

かような切片によって、わりと序盤のほうでヒロインは後輩クンに対し、「カッコよく(カワイく)て、人気あるのよね」という、どの立場からやらわからない評価を下している。

誰かから快適さをもたらされれば、その者に対する好感が増す。
誰かから不快さをもたらされれば、その者に対する好感が減る。

信頼蓄積理論(Edwin P.Hollander,1974)によれば、リーダーが発揮する影響力は、フォローワーがその時点で彼に対し、どれだけ信頼の残高を有しているかに最も依存する。
それに似ている。

ヒロインは胸の内に、充分な好感を貯めているのである。

すなわち、「何」を言われるかではない。
「誰」に言われるか、ということなのだ。

男は顔ではない。だが――

「……書けた?」
「はい」

ふと気づくと、アキラがキーボードから手を離していたから声をかけた。
ミサのノートパソコンを使って、アキラは社会学習の事後レポートを書いていたのだった。

「どれどれー……」

画面を覗き込み、スクロールさせる。

レポートといっても、単なる感想とアンケートだ。何か正解があるわけではない。だから、出来ばえも何もあったものではない。

ひとつの質問が目に止まった。

『受け入れ部署の担当の対応はどうでしたか?』

ミサのことである。

よかった、
わるくなかった、
ふつう、
よくなかった、
わるかった。

アキラは、「よかった」を選んでいた。

「この質問って、そういうことを書くとこじゃないよ?」

アキラへの指導は、もっぱら部下たちに占有されてしまって、ミサが手厚く対応したわけではなかった。大半、壁の外から中身を羨んでいただけである。

「そういうこと、ってなんですか?」
「こういうこと」

ミサはアキラの記入を消し、「ふつう」に変えた。
/257ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ