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こじらせてません
第4章 拘繋
「み、見すぎだって……」

はしたない。隠したい。

顔が近づいてきた。
キスをして、また黙らせるつもりか。

「ミサさん」

黙らせるつもりならば、喋りかけるべきではない。

手を脚の間に差し伸べられないのであれば、舌を吸い合って呆けてしまおうと、ゆるめた唇で迎えにいこうとしたところだった。

「……濡れてますか」
「ういっ……!」

なんと言うことを聞くのかと驚いて、頓狂な声が出たのである。音韻を自分でも聞いて、フランス語で即答したと思われたくなくて、

「み、見ればわかる……でしょ?」

と繕ったが、それではまるで見てほしいのだと言っているようで、勘違いされては非常に困るから、

「……ぬ、濡れてる」

と、続けざまに事実を述べた。

結局のところ、恥ずかしいことには変わりがなかった。

「あの」
「な、なに……?」
「す、すぐに……、いれ……、はいっていいですか?」

前戯をしない男なんて最低である。
かの女性向けサイトでも、活発な議論が行われていた。

しかし、彼氏の前で膝を開いた、ありていに言えばM字開脚をした格好で、神威が文字通り肉薄している様子を目の当たりし、いっぽうの自分も、指か、口か、神威か、いったいどれで媚肉を癒やされたいかといえば完全一択だったので、答えは明らかだった。

ミサはただ、うなずいた。

「……すみません、取ってきます」

不世出の少年にしては、手落ちだった。また、常にポケットに忍ばせているわけはないにしても、ミサにもぬかりがあったと言える。

(ん……)

「そのままでいい」

避妊をしない男なんて最低である。
かの女性向けサイトでも、活発な議論が行われていた。

しかし、寝室へ向かわせ、チェストからコンドームを持ってこさせて、お待たせしました、と膝を開いた、ありていに言えばM字開脚へ向けて再び構えあうなんて、アキラも自分も、なんともバツが悪い思いをするにちがいない。

……というのは、タテマエ、なのかもしれなかった。

したいようにしなさい、と言った手前、したいようにしているアキラへ手向かうことはできない。

「いますぐ、したい」

だがこちらの希望を伝えるのは、問題ないはずだ。
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