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こじらせてません
第4章 拘繋
隔てのない神威に触れれば、空で何が起こっているかを知る――いや、感じることができるかもしれないと思った。

「大好きです。……誰にも、渡したくない」

アキラはそう言って、腰を近づけてきた。
後付けの言い訳ではない、と確信できたので、ミサも腰をつきだした。

「あうっ……!」

たかがラテックスの薄皮一枚の違いである。なのに触れただけで、存在感が格段に違った。

神威が、ぬかるんだ門を開こうとする。

「い、い、今の、もう一回、言って」
「大好き、です……」
「そっち、じゃなくて」
「誰にも、渡したくない」

じっとして言ってくれればいいものを、頭がくぐったせいで、二度目のほうが限界効用が高まるという不思議な現象が起こった。

「あうっ……、ま、待って」

もう一人暮らしではない部屋で二人きり、ストッキング残しの裸に剥かれ、神威が頭だけをくぐらせているのだから、アキラにしてみれば早くはいらせてくれよ、というのももっともだし、仮に誰かが二人の様子を見守っていたとしたならば、とっとと繋がってやれよと忠言するかもしれない。

しかし、入ってきたならば、メルトダウンは必至である。

その前に、ミサはどうしても聞いておきたかった。

「いつから、自分のものにしたいと、思った?」

自分はいつからだったろう。アキラのほうが先だったらいいな、と内心期待しながら、彼の答えを待った。

「最初は、キレイな人だな、っていう憧れでした。僕なんて、きっと相手にしてくれないだろうなって。家に入れてもらえたときも、お姉ちゃんやお継母さんみたいに、体とか、それだけのことなのかなって、心のどこかでは思ってました。でも……、ミサさんが、初めてだってわかって、きっと、ミサさんも――」

寸止めを食らわされているわけであるが、アキラは誠実に、答えてくれていた。

「待って」

彼は待っている。神威は進んではいない。

「……ちょっと、待てぃっ!!」

しかし、ミサは叫んだ。





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