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こじらせてません
第4章 拘繋
しかし、いい歳をしたオトナの女が、美しい高校生を前にして、はげしく痛がっている、そして、ひどく嬉がっているなんて知られたくはないし、あろうことか後になって、はげしく痛がっていたのも、ひどく嬉しがっていたのも、本当はバレてましたよと教えられるなんて、聞いていくうちに顔が茹だっていった。

「きっ……、気つかってた?」
「そんなこと、ないです」

顔が沸点を超えると、錯乱は羞恥へと収斂されていった。

「ウ、ウ、ウソつかないでっ!!」

恥ずかしさでいたたまれなくなる。

「ほ、ほ、ほんとは、めんどくさかったんでしょっ。アキラくんは気持よくなりたいのに、気つかってたんだ? それに、ヤッちゃったから、あーあ、責任とらなきゃなー、って思ったんでしょっ。そんな、責任取れとか言わないもん! べつにさ、お、男に相手にされてこなかったわけじゃないの。こ、婚約してたんだからしかたないじゃんっ。敬虔なハゲが純潔でいようとか言って、ずっと手を出してこなかっただけだもんっ! 同期の大根とデートして、なんか、なんとなく、一瞬いい感じになりそうだったし? でもね、それも、ちゃんと断ったんだから! そしたら……、そしたら、十年もたってんのに婚約破棄になって――」

いたたまれない、とは、とにかく何かをせずにはいられない状態である。

くだんのとおり、彼氏の前で膝を開いた、ありていに言えばM字開脚をした格好をしていたので、自由に動かせるのは口と声帯しかなかった。
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