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こじらせてません
第4章 拘繋
「ミサさん」

しかしアキラは、ミサの頭を撫で、髪を梳き降ろし、抱き寄せてきた。

「……ちょ、はいってきてるっ……」

神威が一歩進んだ。絶妙に擦れた。

アキラがキスをしてきたから、申し出とは真逆の行為をなされたのに、ミサは黙った。

アキラが背中をまさぐってきたから、申し出とは真逆の行為をなされたのに、ミサは情欲を煽られた。

(ううううう……)

「んぶ……ずるい」

キスをして黙らせて、体をまさぐって情欲を煽れば、なんとかなると思っているのだとしたら、それは間違いだし、あろうことか何はともあれ繋がってしまえばこっちのモノだと思われたら一大事である。

しかし、ズルズルと、ミサの情動はなんとかなりそうだったし、「僕のモノです」と宣言して突き進んでくるアキラに翻弄されるのだった。

この上ない恥辱もこうむったし、勢いづいて暴力も罵倒もしてしまった。
もうおしまいだと、頭をよぎった。

だが、こうしていると、想像を絶する惨めったらしさに苛まれるのは嫌だし――というのはタテマエで、神威のメリ込みを感じると、甚だしく離れがたく、接面へ直接送り込まれる生命の息吹が畏れ多く、とどのつまりは、終わって欲しくない、というのが奥底から湧き起こる本心だと直感された。

ただ、言ったそばから何を言ったかもう曖昧なのは、神威のエラに花襞を直接こすられる性悦が尋常ではないのと、羞恥と恥辱にまかせて思念をダダ漏れにしたからであり、とはいえ言ったことの大略は把握していたから、舌の根も乾かぬうちに撤回はできないのだった。

「……ン、ずるいよ……」

撤回できない歯がゆさが、ミサに言わしめた。

とはいえ、音を立てて濃密にキスを続けていては舌の根はいつまでたっても乾かないし、繋がっていてはズルズルが止まらない。

(うううう……、あうっ!)

ちなみに「あうっ」は、声となってきこえた。
ゆっくりと進んできた神威が最奥に到達したのだった。
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