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こじらせてません
第1章 捕縛
発案は理絵子だった。
メイクにしても、スキンケアにしても、早い子だと小学校高学年からしている。していなくても、興味はあるだろうことは予想がつく。子供が化粧なんて、と眉をひそめる人も少なくなってきたし、何より、美への希求心は大人だけのものではない。
化粧品への投資額が増えるのは成人以降だ。いまの間に、将来の主力購買層を囲えないだろうか、という企みだった。
発想は間違いではないが、少し面白くない、とミサは思った。
ミサ自身は、高校まで化粧をしなかったから、大学でその鬱積が爆発してしまった――というわけではない。結果的には爆発したのと同じではあったが、校則の適用対象外になったことが、化粧品への投資の第一の理由ではなかった。
かつ、その点では、世の女性も、化粧をする理由は同じだと思っていた。
自分のようにラディカルではないにせよ、投資額と投資意志は年齢に比例する、と考えていた。
しかしながら、ある調査結果に触れると結果は違った。
「あなたは化粧をすることが好きですか?」という質問に対し、「とても好き」または「好き」と答えたのは、十五歳から二十四歳で合わせて52.5%だが、二十五歳から三十四歳では43.4%、三十五歳から四十四歳で32.1%だった。
歳が進むにつれて下がるのだ。
同調査にて、「あなたはなぜ化粧をするのですか?」という質問に対しては、「身だしなみとして当たり前だと思うから」が一位、「肌を紫外線などから守るため」が二位、「ノーメイクでは恥ずかしいから」が三位である。「やってみたら化粧映えする顔で、他者承認・自己承認欲求を満たすことができるから」という回答は見当たらなかったが、類似したものである「より美しく、魅力的に見せるため」という回答は、ランクが低かった。
美に対する消極的理由が上位を占めている。これは意外な結果だった。
「一般的に『女性は化粧をする』という風潮がありますが、そのような風潮がなくても化粧をすると思いますか?」という、なんとなく含みを感じずにはいられない文章だが、それはさておき、この質問に対して、「今と同じくらいすると思う」という回答は、いかなる年代においても半数以下である。
つまり、大半の女性は、基本的には「化粧なんかしたくない」と思っているのだ。
メイクにしても、スキンケアにしても、早い子だと小学校高学年からしている。していなくても、興味はあるだろうことは予想がつく。子供が化粧なんて、と眉をひそめる人も少なくなってきたし、何より、美への希求心は大人だけのものではない。
化粧品への投資額が増えるのは成人以降だ。いまの間に、将来の主力購買層を囲えないだろうか、という企みだった。
発想は間違いではないが、少し面白くない、とミサは思った。
ミサ自身は、高校まで化粧をしなかったから、大学でその鬱積が爆発してしまった――というわけではない。結果的には爆発したのと同じではあったが、校則の適用対象外になったことが、化粧品への投資の第一の理由ではなかった。
かつ、その点では、世の女性も、化粧をする理由は同じだと思っていた。
自分のようにラディカルではないにせよ、投資額と投資意志は年齢に比例する、と考えていた。
しかしながら、ある調査結果に触れると結果は違った。
「あなたは化粧をすることが好きですか?」という質問に対し、「とても好き」または「好き」と答えたのは、十五歳から二十四歳で合わせて52.5%だが、二十五歳から三十四歳では43.4%、三十五歳から四十四歳で32.1%だった。
歳が進むにつれて下がるのだ。
同調査にて、「あなたはなぜ化粧をするのですか?」という質問に対しては、「身だしなみとして当たり前だと思うから」が一位、「肌を紫外線などから守るため」が二位、「ノーメイクでは恥ずかしいから」が三位である。「やってみたら化粧映えする顔で、他者承認・自己承認欲求を満たすことができるから」という回答は見当たらなかったが、類似したものである「より美しく、魅力的に見せるため」という回答は、ランクが低かった。
美に対する消極的理由が上位を占めている。これは意外な結果だった。
「一般的に『女性は化粧をする』という風潮がありますが、そのような風潮がなくても化粧をすると思いますか?」という、なんとなく含みを感じずにはいられない文章だが、それはさておき、この質問に対して、「今と同じくらいすると思う」という回答は、いかなる年代においても半数以下である。
つまり、大半の女性は、基本的には「化粧なんかしたくない」と思っているのだ。