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こじらせてません
第1章 捕縛
オトナの女の一人暮らしの部屋へやって来たのは初めてだろうか。だから座る位置まで、選ばせてくれるのだろうか。
連れ込んでいきなり尋ねるわけにはいかなかったが、選択権が此方に移ったのは好都合だった。

ここでソファをすすめるのは、早計である。
その後、この部屋の女あるじがすぐ隣に座ったら、少年は身構える。物事には順序がある。

「じゃ、ここどうぞ?」

ミサは新たに購入したクッションを引き寄せて、お茶を置いたローテーブルの前をすすめた。どれでもいいなら、お茶にした。お取り寄せで用意していた玉露。コーヒー、紅茶と違って、小さい頃に祖母に手ほどきをされたことがあるから、一番上手く淹れることができる。今日のために用意したシャギーラグがあるから、直接座っても、痛くはないはずだ。

さて、ここでいきなり隣に座るのでは、ソファをすすめなかった配慮が無駄になる。

広く知られたビジネスナレッジで、着座位置について、机を挟んで対面だと、これは心理的には「対立」を表す。ありえない。商談の場においては「正式な議論」も表すので、必ずしも避けるべきものではない。だが今は、ビジネスではない。反対に隣どうしは「友好」だ。これには若干「おもねる」意味も含むし、信頼関係が未構築ならば「馴れ馴れしい」ともとらえられかねない。今の段階では不適切。

したがって、ミサは斜向かいに腰を下ろした。
空間的にも心理的にも、近すぎず、遠すぎず、だ。

「正座、辛くない?」
「いえ、大丈夫です」

座り方が、よい。
正座とあぐら、どちらがアキラに似合うかといえば、もちろん正座だった。

こちらは横座りに崩している。テーブルに向かって斜身に構え、片肘をついて顎をのせている。

多少、行儀が悪いように見えるかもしれないが、自宅である。リラックスしていますよ、という様子を誇張しているのだった。

「疲れたかな? みんな、ちょっとハシャギすぎたよね。会社にいる時も、うるさかったんじゃない?」
「いいえ。楽しかったです。今日まで、みなさんにすごくお世話になって」
「……寂しい?」

なぜ、リラックスしていますよ、という様子をアキラに伝えたいかというと、余裕がありますよ、ということにしたいからだった。
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