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こじらせてません
第1章 捕縛
「……こんなこと、していいの?」
「……いや、ですか?」
質問に質問を返されたわけであるが、彼の質問は回答に近いと思ったから、受け入れた。そして唇を少し引き離したものの、彼の問いに答える前に、また唇を吸いたくなった。ミサが回答を後回しにしても、アキラは不服一つ言わず、唇を受け入れてくれる。
「いやじゃないよ。……でも」
「なんですか?」
「やっぱり、期待、してるよね? 家に入れた時点で」
「……」
「してない?」
「してます」
「……。……したい?」
「したい、……です」
主語も目的語も省いても、意思疎通は叶った。誰にも迷惑をかけない、一人暮らしの部屋に一人でおらず、お互い距離を詰めてキスをしているのだから、コンテキストとして充分成立していた。
話していた間もずっと唇をはみあっていたのだが、最後の言葉を聞き、ミサは鼻から大きく息を吸い込み、そしてゆっくりと吐き出した。
息が震えている。
「いいよ」
袖を離し、軽くアキラの体を押した。アキラが身を引いていく。喉が渇れて、いいよ、の語尾が濁ったのを照れ笑いすると、アキラも軽くはにかんだ。
お茶を一口飲んで喉を潤す。お茶が冷めてしまうほどの時間、キスをしてくれたんだな、と思うと、胸がいっぱいになり、
「ん。……ベッド行こっか」
ミサは髪を耳へかきあげて立ち上がった。
「……いや、ですか?」
質問に質問を返されたわけであるが、彼の質問は回答に近いと思ったから、受け入れた。そして唇を少し引き離したものの、彼の問いに答える前に、また唇を吸いたくなった。ミサが回答を後回しにしても、アキラは不服一つ言わず、唇を受け入れてくれる。
「いやじゃないよ。……でも」
「なんですか?」
「やっぱり、期待、してるよね? 家に入れた時点で」
「……」
「してない?」
「してます」
「……。……したい?」
「したい、……です」
主語も目的語も省いても、意思疎通は叶った。誰にも迷惑をかけない、一人暮らしの部屋に一人でおらず、お互い距離を詰めてキスをしているのだから、コンテキストとして充分成立していた。
話していた間もずっと唇をはみあっていたのだが、最後の言葉を聞き、ミサは鼻から大きく息を吸い込み、そしてゆっくりと吐き出した。
息が震えている。
「いいよ」
袖を離し、軽くアキラの体を押した。アキラが身を引いていく。喉が渇れて、いいよ、の語尾が濁ったのを照れ笑いすると、アキラも軽くはにかんだ。
お茶を一口飲んで喉を潤す。お茶が冷めてしまうほどの時間、キスをしてくれたんだな、と思うと、胸がいっぱいになり、
「ん。……ベッド行こっか」
ミサは髪を耳へかきあげて立ち上がった。