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こじらせてません
第1章 捕縛
はだけていたアキラの上着を、まとめて脱がせていく。腕を外そうとしたあたりでかさばり、もつれる。
それでよかった。腕からは抜かなかった。
マンガの中で出てくる典型としてはネクタイだったが、彼の制服がダミータイてあることは、会社で絶えず彼を窺っていた時から見抜いていた。
「え……、あの」
「こうすれば手、使えないでしょ?」
そしてミサは、枕の下に忍ばせていたアイマスクを取り出した。
「た、高橋さん……」
「動かないで。それから、名前でよぶ。何回も言わせないで」
「だ、だって……」
「私、フツーじゃできない、って言ったでしょ? アキラくんは、『わかりました』って言ったよね? ちがうの?」
玉露と同じ日に届いたアイマスクをかぶせていく。彼の顔の一部でも隠れてしまうのは非常に惜しかったが、見られたくはなかった。彼を見つめることができるということは、彼に見つめられるということである。「その瞬間」のことを考えると、たえられそうにない。
「……オ」刹那、気恥ずかしさがミサを言い淀ませたが、「オネーサンの言うこときかなかったバツだから」
そんな一人称を用いると、アキラがアイマスクをかぶっておきながらキュン死させそうな表情をしたものだから、ミサは勢いに任せて中途だったファスナーを下ろしきり、ズボンのホックも外した。
「ほら、おしり、あげて」
ズボンを脱がせる。靴下も脱がせる。
傍らに膝立ちになったミサは改めて見下ろし、自分でそうしておきながら口元を両手で覆った。なんと美しい身体をしているのだろう。差し上げた両手は上着に邪魔をされて動かせず、アイマスクの暗闇が彼の不安と羞恥を増長している。マンガの登場人物はデフォルメされて描かれているのだと思っていたが、アキラを見ているととても誇大とは思えなかった。
感動に近しい欲情を得たミサは、最後に残されているボクサーブリーフへ目標を定めた。彼の視界が奪われたことをいいことに、生唾を飲み込む。
(……コレだ)
ブリーフの中央には畝ができている。その端では、グレーの布地が丸く滲んでいる。
「なんか……、濡れちゃってるよ?」
それでよかった。腕からは抜かなかった。
マンガの中で出てくる典型としてはネクタイだったが、彼の制服がダミータイてあることは、会社で絶えず彼を窺っていた時から見抜いていた。
「え……、あの」
「こうすれば手、使えないでしょ?」
そしてミサは、枕の下に忍ばせていたアイマスクを取り出した。
「た、高橋さん……」
「動かないで。それから、名前でよぶ。何回も言わせないで」
「だ、だって……」
「私、フツーじゃできない、って言ったでしょ? アキラくんは、『わかりました』って言ったよね? ちがうの?」
玉露と同じ日に届いたアイマスクをかぶせていく。彼の顔の一部でも隠れてしまうのは非常に惜しかったが、見られたくはなかった。彼を見つめることができるということは、彼に見つめられるということである。「その瞬間」のことを考えると、たえられそうにない。
「……オ」刹那、気恥ずかしさがミサを言い淀ませたが、「オネーサンの言うこときかなかったバツだから」
そんな一人称を用いると、アキラがアイマスクをかぶっておきながらキュン死させそうな表情をしたものだから、ミサは勢いに任せて中途だったファスナーを下ろしきり、ズボンのホックも外した。
「ほら、おしり、あげて」
ズボンを脱がせる。靴下も脱がせる。
傍らに膝立ちになったミサは改めて見下ろし、自分でそうしておきながら口元を両手で覆った。なんと美しい身体をしているのだろう。差し上げた両手は上着に邪魔をされて動かせず、アイマスクの暗闇が彼の不安と羞恥を増長している。マンガの登場人物はデフォルメされて描かれているのだと思っていたが、アキラを見ているととても誇大とは思えなかった。
感動に近しい欲情を得たミサは、最後に残されているボクサーブリーフへ目標を定めた。彼の視界が奪われたことをいいことに、生唾を飲み込む。
(……コレだ)
ブリーフの中央には畝ができている。その端では、グレーの布地が丸く滲んでいる。
「なんか……、濡れちゃってるよ?」