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こじらせてません
第1章 捕縛


内心余裕を失っていたミサだったが、少年のブリーフを掴んだ時、留意事項だけはギリギリ憶えていた。彼もまた、ギリギリであると告白していた。肉体と布地との摩擦係数が上がると、終焉してしまう危険がある。

では、どれくらいの速度で引き下ろせばいいのか。
ミサには実践経験がなかった。

(あ、そうか)

いざ手を掛けてみると、男性用下着もかなりのストレッチが効くことが判明した。ズラすのではなく、ゴムを引っ張る。こうすれば摩擦係数を緩和できると思った。

(え……)

しかし布地を追うように、畝も一緒に盛り上がってきた。

ここで何事もなかったようにスッと元に戻してしまうと、アイマスクを施しているだけに、かえってアキラを何事かあったかと不安に思わせかねない。やむなく、まだ少しゴムには余力があったから、更に引っ張りあげてみた。
しばらく畝の膨らみがついてきたが、また更に引っ張ると収まった。

安心し、引っ張ったまま、ブリーフを大きく、大胆に下ろす。布地がなるべく触れないための措置だった。

(ええっ!)

もちろん、どれだけ綿密に計画しても、想定外の出来事は起こりうる。

マンガの中で多くの性愛の場に接してきたミサだったが、マンガには描かれていないことがあった。

正確には、コトではなくモノだ。

今、ブリーフと一緒に持ち上がってきた幹は、マンガのコマの中では、男性登場人物の股間にて、ホワイトで塗りつぶされているのか、もともと作者が描いていないのか、茫漠としていた。具体的表現としては、茫漠が描かれていた。扁平な楕円がモワモワとしていた。

女性が男性器にまみえる機会は、何も性経験だけではない。インターネット百科事典を調べれば、切断面図とともにしっかりと説明されている。だから性経験がなくとも、ミサは男性器がどのような構造をしているかは知っていた。ただし、ミサに必要だったのは内部構造ではなかった。必要性に加え、知的探究心と、ものの勢いに導かれて、リンクをタップした先の画像で、フィルタ修正のない男性器の外観を確認済だった。
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