この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
こじらせてません
第1章 捕縛
度量衡とは、まったくの無機質なものだった。
物質感は恐怖を生むだけだが、存在感は畏怖を感じさせる。
「怖れ」とは、すなわち畏怖だった。

ミサは己の短絡を恐縮する気持ちで、膝立ちのままスカートのウエストを緩めた。長い脚から抜き取り、躊躇なくブラウスのボタンを外していく。その間も、彼の神威から目を離せなかった。

下着姿になる。大人っぽいデザイン。黒と迷ったが、思い切って紫にした。
腹斜筋も臀筋も弛みはない。普段から僧帽筋の存在も忘れずにきたから、ブラも外してしまう。アキラの視界を塞ぐことは既定路線であったが、下着もボディラインも配慮を怠らなかったのは、もちろん自己承認欲求によるものである。長期記憶に書き込まれる、この時を迎えるにふさわしい、自分でありたかった。

「……アキラくん」

上体のほうへにじったミサは、彼の腕をいましめる上着を、丁寧に取り除いた。両手の自由を取り戻したアキラは、途中からは自ら脱いで上裸となった。そのあいだに、太ももに残っていたブリーフを抜いてやる。

「……取っていいですか?」

だが、アキラがアイマスクに手をかけると、

「だめ」

ミサはすぐさま遮った。
自己承認欲求が満たされていたとはいえ、他者承認欲求の成否を確かめるだけの勇気は、まだなかった。

するとアキラは、その手をミサへと向けてきた。鬼さんコチラと発しなくとも、彼の手は彷徨なく二の腕をとらえると、もう一方の手は腰を抱き寄せる。

「わっ、……、……ンンッ!」

不意打ちだった。ずいぶんと甘く呻いてしまった。

「取りたい、……です」
「だめ……」

ごくまれに、マンガの中で、性感極まった主人公が「らめえ」と言うのを見かけた。

凄艶なる性楽に浸るあまり、脳効率が鈍化したものと思われるが、ミサは自慰において、そこまで自分を追い込むことはできなかったから、そんなことが現実にありうるのかしらと思っていた。しかし今しがた自分の耳に届いたのは、フキダシの記述に近しい音韻で、

「ミサ、さん」
「……、……。……らめ」

間を置いてみたが、同じだった。
/257ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ