この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
こじらせてません
第2章 馴致
落ち着いて考えると、これは成立していない。

「調教」という言葉の歴史に思いを馳せたとき、馬に対して最初に使われたのではないか、とミサは推察した。

文献があるわけでも、研究結果が手元にあるわけでもない。あくまでも推察であったが、自然な発想ではないかと思われた。

人が自分で行うよりも、より速く、より遠くへ、そしてより長い時間継続して移動するために、野生獣であった馬を、その道具として使うことにした。

人を乗せても振り落とさず、指示した時に走り、指示した方向へ向きを変え、指示した時に止まる。
乗った者の意図に沿って動かしたい。

もともと馬は、人の意図を汲んで行動するようには生まれてきていない。
それが野生というものだ。

なので人は、馬を訓練した。そしてその行為を「調教」と呼んだ。

この言葉は、サーカスに出演する猛獣や、ウォーターショーに出演する水獣にも用いられる。

つまり調教は、野生獣に直接的ないしは間接的な価値を提供してもらうという、人間都合な理由で行われるものである。

調教をしなければ、彼らは人へ価値を提供しない。

訊いてみなければわからないし、訊くすべもないが、馬も、人を乗せなくて良いのであれば、率先して人を乗せないだろう。

なにも好き好んで、ライオンは体毛が焦げるかもしれない火の輪をくぐりたくはなく、イルカは水面から飛んでまで高いところにあるボールを口先で突つきたくないだろう。

本質的には、彼らは調教されることを望んでいない。
そんな彼らを「ペット」と呼んでよいのだろうか。

実に違和感があった。

彼らはペットではない。
自覚があるかどうかは訊いてみなければわからないし、訊くすべもないが、ミサが外から眺めた時の、彼らの身分は「獣畜」だった。
/257ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ