この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
こじらせてません
第2章 馴致
出版元のジャンル設定が不足していると思われた。希求心が刺激されるあまり投書をしようかと思ったが、優先されるべきことではないから思いとどまった。

自分の理想の能動的行動が行われるよう、アキラをしつけることが、彼との関係性における最優先事項であった。

アキラは彼氏であり、ペットである。
ミサはアキラの彼女である。
アキラはペットなのであるから、ミサはアキラの主人である。

「彼氏ができた」という所感は誤りだった。
彼氏はペットであり、ペットは主客体固有の属性ではなく、両者の関係性において定義されるのだから、二人のあいだで連綿と続く行動と制御のもとで初めて成立する。

一人暮らしの部屋ではないトイレの個室の中で、ミサは、瞬時のうちにこれらを思い出した。

そして激怒していた。

個室を出た後も、激怒は続いた。

アキラの行動は、ミサの意図にそぐう能動的行動ではなかったからである。

訊かなければわからないが、ワンちゃんには訊くすべはない。アキラには訊くすべがある。

『おとつい』

ミサは、そこまでフリックして、削除した。

何度も打ち直した。
ア行とタ行に指跡が残っていた。
自席に戻っても、再び個室に入っても、やった。
おそらくは、終業後に一人暮らしの家に帰ってからも、やりそうだった。

今日はアキラは来ない。
家の用事がある、と言っている。

激怒が不安に変わっていった。

『ペットとの間には信頼関係が必要である』

これもまた、世間一般に共有されている。

不快な切片を受け取る直前まで、個室の中で妄りに思念できたのは、彼に信頼を感じていたからだというのに、これがミサの中で非常に危うくなっていた。

信頼とは心の一状態だ。
この状態は、信用によって維持される。

信頼には信用が必要だが、信用には確証が必要だ。
ミサには確証が不足していた。





/257ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ