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こじらせてません
第2章 馴致


「……ドローン……」
「高橋チーフ?」

ミーティングスペースの丸テーブルを囲った部下たちが怪訝な顔をした。

何度目か知れぬトイレから戻ったら、ちょうど、とある商品のCS調査の結果が返ってきたので、チームで数字の意味を吟味しているところだった。

アンケートとは便利なもので、昔から、CS調査にせよ、ニーズ調査にせよ、広く使われている。

だが、結果の分析には注意を要する。
バイアスのかかっていないアンケート結果は存在しないからだ。

特に化粧品の場合、美の希求心の推進力としての、自己承認欲求と他者承認欲求の満足という二つの側面がある。前者については、わだかまりのない気持ちを吐露してくれているか、後者については、自己判断以外の裏打ちがどこまでなされているか、という懸念がつきまとう。

いずれにおいても、客観性という点が常に課題だった。

今回は、ある当選キャンペーンを展開し──言い方を変えると、景品で釣って、その応募資格を得るために設定された質問へ、お客様に回答していただいたものを集計していた。

確かに相当数の母数を確保しつつ、収集を繰り返せば、主観が薄まった傾向が炙り出てくる。逆に言うと、一回だけの結果をみて読み取れる特性は、話半分くらいに捉えておいたほうがよい。

そして、ミサだけでなく部下たちもだったが、本来分析したかった顧客層からの回答が案外少ない、というのが、今回の結果を見た第一印象だった。

アンケートには、質問票調査のほか、街頭調査という手法もある。その名の通り、調査員が街へ繰り出して質問をかます、というものだ。

こちらの意図した聞き取り対象を選べるのが利点だが、相当数の母数を確保しようとすると、膨大なコストがかかってしまう。主に調査員の人件費だ。

「あっ、そっか。なるほどー。ドローン飛ばして街歩いてる人を撮影したり、質問したら……ってことですよね。話題性もありますよねー。さすがチーフ」

部下の一人が勝手に納得すると、残りの部下たちも勝手に賞賛した。

企画職だと、こういった思いつきが他の者の発想を触発し、ビッグアイディアを産むことがあるから馬鹿にできたものではない。
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