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こじらせてません
第2章 馴致

──まず、アキラのスマホのGPS機能をオンにする案を考えた。
だが、これは不採用だ。
今から機能をオンにしてもらうには、所有者であるアキラの同意と操作が必要である。本人に知られず行う方法もありそうだが、不正アクセス禁止法違反に問われる可能性がある。
といっても、不採用であるポイントはそこではない。
GPSによってアキラが、どこにいるかわかったところで、誰といるか、何をしているかはわからないのだ。
ミサの知っている場所にいるか、場所自体に自明の目的があればよいのだが、知らない場所に一定時間とどまられたら、精神衛生に著しい支障が生じる。
やはり、確証が必要なのだ。
「んー、でもよく調べてみたら……」ミサはスマホを操作しながら言った。「航空法が改正されて、ドローン飛ばすのって許可、承認がいるんだって。そういえば、ちょっと前、ニュースになってたね」
ミサは内心舌打ちした。
調べてみたら、案外ドローンは無理なく買える値段だったので、フィジビリティを取る価値があると思った矢先だったから、口惜しさはひとしおだった。
やれ操縦者が常時監視していろだの、人や建物から30mは離せだの、我が国宰相の執務拠点の屋根に落ちたくらいでうるせえよ、とやつあたった。
結局は、とっさに発想した方法が、今の自分には一番適切であるようだった。
『わたしも会えなくて残念かな』
国交省のサイトを見ているフリをして、まだ返事をしていなかったアキラへメッセージを送った。
これまで「残念」なんていうメッセージを送ったことはなかった。
『ごめんなさい』
『べつに謝らなくてもいいよ。用事があるなら、しかたないよね』
返事がない。
ミサは眉をひそめた。
『今日もいっぱいしたかったから、残念に思ってるだけ』
これで「用事」とやらを撤回してくれるだろうか。
だがやはり、すぐに返事はなかった。
『授業中?』
するとようやく、
『はい』
一言だけ返事がある。
『授業中にエッチなこと考えないで』
どうせまた返事が滞るだろうから、アプリ画面を切った。
だが、これは不採用だ。
今から機能をオンにしてもらうには、所有者であるアキラの同意と操作が必要である。本人に知られず行う方法もありそうだが、不正アクセス禁止法違反に問われる可能性がある。
といっても、不採用であるポイントはそこではない。
GPSによってアキラが、どこにいるかわかったところで、誰といるか、何をしているかはわからないのだ。
ミサの知っている場所にいるか、場所自体に自明の目的があればよいのだが、知らない場所に一定時間とどまられたら、精神衛生に著しい支障が生じる。
やはり、確証が必要なのだ。
「んー、でもよく調べてみたら……」ミサはスマホを操作しながら言った。「航空法が改正されて、ドローン飛ばすのって許可、承認がいるんだって。そういえば、ちょっと前、ニュースになってたね」
ミサは内心舌打ちした。
調べてみたら、案外ドローンは無理なく買える値段だったので、フィジビリティを取る価値があると思った矢先だったから、口惜しさはひとしおだった。
やれ操縦者が常時監視していろだの、人や建物から30mは離せだの、我が国宰相の執務拠点の屋根に落ちたくらいでうるせえよ、とやつあたった。
結局は、とっさに発想した方法が、今の自分には一番適切であるようだった。
『わたしも会えなくて残念かな』
国交省のサイトを見ているフリをして、まだ返事をしていなかったアキラへメッセージを送った。
これまで「残念」なんていうメッセージを送ったことはなかった。
『ごめんなさい』
『べつに謝らなくてもいいよ。用事があるなら、しかたないよね』
返事がない。
ミサは眉をひそめた。
『今日もいっぱいしたかったから、残念に思ってるだけ』
これで「用事」とやらを撤回してくれるだろうか。
だがやはり、すぐに返事はなかった。
『授業中?』
するとようやく、
『はい』
一言だけ返事がある。
『授業中にエッチなこと考えないで』
どうせまた返事が滞るだろうから、アプリ画面を切った。

