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こじらせてません
第2章 馴致
ストーカー規制法がうたう動機は、「好意の感情」か「好意が満たされず怨恨の感情」だ。
ウソをついていないこと、ウソとついていること、どちらを確かめたいのかわからないから、どちらかわからない。だが、確実に抵触する。

第2条1項で禁止されている8つの行為のどれかといえば、おそらくは「つきまとい」だ。発生件数も一番多い。

(ひっ……!)

躊躇が改心へ発展する前だった。

名前の通り光り輝いていたわけではない。
だが、横断歩道を行き交う人々の中に、彼の姿を見つけた。

思ってたよりも早い。急ぐ理由でもあるのだろうか。

しかし、学校の近くまでいくつもりだったが、こんなモブの中で見つけるなんて奇跡だ。

一人だ。まだ、一人なだけか。
こちらには気づいていない……。

出で立ちを変えている時間はなくなってしまったが、ミサは、アキラの進むほうへ足を向けた。渋谷の雑踏は、踵音も背の高さも「美しい歩き方」も、景色の中へ溶かしてくれた。

化粧をしたら、校則違反だった。
化粧行動を禁じているのだから、メイクをした瞬間に成立する。
ナチュラルメイクによってスッピンに見えても、校則違反なのだ。

盗撮をしたら、迷惑防止条例違反だ。
親告罪ではない。撮影をした時点で起訴されうる。
撮影されたことを被写体が知らなくても、盗撮なのだ。

ストーカー規制法違反は、親告罪だ。

ミサは、自分の存在をアキラに知らしめることによって、感情を満たしたいわけではなかった。

客観的な事実として、確証なのか、反証なのかが、欲しいだけだった。
知らせるつもりもなければ、知られるつもりもない。

唯一止めることができるのは、天国、ないしはミサの情操の底へ横たわる祖母だけだったが――祖母らしく、沈黙していた。

法律に詳しくはないのに、猛追するアキレスから亀を逃げおおさせたミサは、みたび、今度は肉体的に立ち止まった。
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