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こじらせてません
第2章 馴致
(んー……)

ふたたびハチ公が見えた。
彼は女の子を迎えた。

何か話している。
女の子がアキラの腕を軽く叩くと、彼は少しうなだれた。
そして、頭をポンポンと撫でられた。

それを見たミサだったが――飛び出すことができなかった。

ここにいることを知られてしまうと、法律に抵触してしまうからではない。

事実を前にして、足がすくんでしまっていたわけでもない。

(んー……?)

相対的に、遠目で見ても自分よりも身長はなさそうだが、「ちっちゃい」と言うには及ばない。

相対的に、自分も目は小さくはないと思うが、この女の子の瞳も「クリクリ」というほどではない。

相対的に、惨敗感はまるでないものの、この女の子もまあ美しい人ではある。だが片仮名で「カワイイ」と呼ばれている感じではない。

相対的に、どのような家に生まれ、どのように育てられて、今どのような集団にいるかしだいだが、「お嬢様」という表現が妥当とは思えない。

相対的に、何を着ているかというのは、その人しだいであるものの、実は制服を着ている時もある、と言われても、首を傾げてしまう自分が否めない。

ミサは、その場にとどまっていた。




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