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薔薇色に変えて
第7章 突然あたえられた二人だけの時間
「そう?薄い色とはいえピンクの服なんて着たことなかったんだけど、
 春だしちょっぴり気分を変えてみたくなったの」

あなたのおかげで、そう心の中で付け足した。

「村山さんはそういう淡くて明るい色が似合いますね。
 いやもちろん普段も素敵ですよ、それに輪をかけてという事ですから」

お世辞じゃないですよ、と付け加えた成沢さんに、
それがお世辞というものですよと跳ね返す。

二人だけの笑い声だが、店の中に大きく広がった。


さっそくトーストを焼き、その間にコーヒーを淹れる成沢さんの姿を
少しの間黙って見つめていた。
今日からの5日間、成沢さんが私のためにコーヒーを淹れ、トーストを焼いてくれる。
この時間、すべてが私のためだけなのだと思うと、
彼との距離が急速に縮まるような気がする。

二人だけだからこそできる会話もあるかもしれないし、
二人だけだから見せられる表情もあるかもしれない。

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