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薔薇色に変えて
第7章 突然あたえられた二人だけの時間
翌日から2人だけの朝食がはじまった。
昨夜作った惣菜をバッグから取り出しカウンターに置くと、
成沢さんにしては珍しく、うわぁと声をあげて喜んでくれた。
「今までここに持ち込みをしたことは一度もないの。なんだか恥ずかしくて。
でも成沢さんと2人だけだし、せっかくだから毎日一つ何か持ってこようと思って」
「うれしいですね、村山さんの手料理を食べられるなんて。
お料理、お好きなんですか?」
手渡したタッパのふたを開けた成沢さんはパッと表情を開いた。
美味しそうですねと声を弾ませながらさっそくモーニングのプレートに盛り付けた。
「ほんの少しの気持ちを添えるって、その程度のものだけど」
自分の料理が盛り付けられたプレートを受け取る。
ポテトサラダの隣りに添えられた、にんじんと卵の炒め物。
オレンジ色を見つめながら小さな良い事をした実感をかみしめた。