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薔薇色に変えて
第8章 想いのままに
カウンターに乗せた私の手に、成沢さんの手が重なる。
そっと包まれると瞬時に熱が体中に広がる。
体だけでなく、目のまわりも熱を帯びてきた。
涙が出る前触れの症状。
でも、実際涙は出ない。
それよりもかすかに体が震えた。それは・・

「・・こうして男の人の肌の温もりを感じるのは・・
 20年近くぶりの事なの・・それほど・・
 触れ合いから遠ざかっていた女なんです・・だから・・」

言いたい事が思うように言えない。
それどころか、なにを言いたいのかもわからない。
自分の気持ちのすべてをさらしていいものか、それすらわからなくなっていた。


言葉が途切れると、代わりを見つけるかのように
握られた手に力が込められた。

「私も・・まだ心の整理がつかないままでいます。
 気持ちを伝えることに怖さも感じます。それでも思い切って・・
 あなたの手を取りました。今ここで・・想いを示しておかないと・・
 後悔すると思って・・」
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