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薔薇色に変えて
第8章 想いのままに
申し訳なさそうにうな垂れる成沢さん。
わずかに背を向けるようにして、きっと私の言葉を待っているのだろう。
受け入れられるのか、それとも拒絶されるのか、それを知るのが怖いのかもしれない。
少し指先が震えていた。

この「喫茶・薔薇色」で、こうして二人きりで話ができるチャンスは
もうないかもしれない。
三枝さんの言っていた、じっくりと足元を固めている時間は
もう与えてもらえないかもしれない。
思い切って私の手を取ってくれた成沢さんの勇気に、
私も応えなくてはいけないと思った。

「私は・・あなたとの時間を過ごすたびに思っていました。
 こんな男性と一緒になっていたらどうだっただろうかって。
 小此木さんたちの言うように、この先一緒に人生歩んでいく誰かを見つけるなら・・
 成沢さんのような男性がいい・・でも・・
 あなたが亡くなった奥さん以外の女性に心を向けることができるのか、
 それを思うと気持ちは細りました・・」

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