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薔薇色に変えて
第8章 想いのままに
終電を逃したのは20年ぶりくらいじゃないだろうか。
語り合って、時に静かに呼吸だけを繰り返す。
それだけでも私にとっては体中が熱くなるほどの刺激だった。
若ければ、すぐにでも肌を合わせたい衝動に駆られるかもしれないが、
体自体が変化しているこの歳では、勢いというものはなかなか感じてくれない。
指と指を絡ませるだけでも熱いものが中心から沁み出てきた20代の頃。
今では動悸ばかりが激しくなるだけ。
それでもいいと思った。
体よりも精神的なつながりのほうがどれだけ大切か、
一応学習してきたのだから。
それに成沢さんも、複雑な胸の内である今の状態で
女を求めるような気にはならないだろう。
彼もまた、心のつながり、拠り所を
求めているのだから。