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薔薇色に変えて
第9章 薔薇色に変わる

日がのびて、まだ薄明るい空の下、にぎやかな商店街を足早に歩く。
私を待ってくれている人の元へと。
ガランと鳴るカウベルは、これまでとは違って明るくて軽やかに聞こえる。
それは私の心に比例しているかのように。
「いらっしゃい」
小此木さんのいつもの声。そして・・
「お疲れさま」
続く愛しい人の声。
だらしなくゆるむ私の頬に、甘酸っぱい刺激が走った。
「お疲れさま。まずはコーヒーね」
うん、と頷く成沢さんの横で、小此木さんは口笛を吹く。
「一週間前と全然違うね、二人の目」
「目?」
カウンターの椅子を引きながら小此木さんに聞き返す。
私達の目、そんなに違うの?

