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薔薇色に変えて
第1章 喫茶・薔薇色
それから10年。
ほぼ同じような毎日を過ごしここまで来た。
ファッション性の高いアパレルメーカーと違って
ほぼ定番の商品を季節に合わせて売るという繰り返しなので、
特別忙しい時期があるといった事はほとんどない。
そこそこ穏やかな日々が積み重ねられて、現時点で10年経った、と言ってもいいくらい。
逆に言えば、面白味のない毎日。
出会いもないし。
出会い、とはプライベートな場面とは別に仕事上での出会いのことだ。
取引先の担当者も、自分と負けず劣らずの古株達。
たまに新入社員だと言って挨拶に連れてくることもあるが、
自分の年齢からみると子供とかわらないような若い男では、
男、として見るのはかなりの、
いやほとんど無理だと思う。
仕事での出会い、そしてプライベートではもっと期待のできない出会いを、
もう求める気持ちはほとんどなくなった。
とにかく職があり家があり、ご飯を食べられて生きていかれればそれで良しとしよう・・